works > 静岡県富士市
● update:Apr.30,2015
世界文化遺産に富士山が登録され、富士山近隣の市町は、次なる飛躍に向けて様々な取組を積極的に行おうとしている中、富士市も富士山の麓にあるまちとしてどのように打ち出していくかが課題であった。
首都圏や静岡県といった外部の人々は、富士市を始め他の市町に対してどのようなイメージを抱くのだろうか。ブランド連想調査を実施すると、他の市町は、富士山以外にも様々な連想やイメージが広がるのに比べ、富士市については富士山以外にはイメージの広がりはさほど見られず、静岡県民にいたっては、製紙業に対して負のイメージを抱く人々が少なからず存在した。一方、富士市民に尋ねると、「田子の浦」「しらす」「果物」「お茶」「つけナポリタン」「岳南鉄道」「かぐや姫」「紙」など様々な連想が確認された。
さらに市民へのインタビューを通じて発見したことは、富士市民が富士市の資産を語るときに、必ず「富士山を結び付けて語る」ということである。例えば「富士山を見ながら食べるしらす丼はうまい」とか、「富士山を見ながら飲むお茶は最高」とか、「富士山の環境を守るため、製紙産業における環境基準は厳しい」など、富士市民の心のどこかに富士山があり、富士山と結びつける様々な資産もより素敵に語れるのではないかと考えた。
そこで開発されたコピーが、「富士山と、○○」である。「○○」の中に富士市の様々な魅力を入れ、その価値を発信していくというコミュニケーションフレームを開発した。展開としては、市民から「富士山と、」ポスターを募集し、それらをイベントで展開しつつ、その中から代表的もモティーフを10点程度選び「富士山と、」公式ポスターを制作した。また富士山に魅了されて住む人々もフォーカスし、「住」としての富士市の魅力も発信している。市民が富士山と共に語りついでいくという内発的な運動は始まったばかりであり、今後「富士山と、」運動が広がっていくことで富士市の魅力が広がり、市としての存在感が増していくと考えられる。