背景

1.日本経済

実質ゼロ成長となった前年からの回復が期待されたが、そのテンポは緩やかなペースだった。 1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比1.1%(年率換算4.4%)増となったが、4-6月期は同0.1%(年率換算0.5%)減とマイナス成長に転落。7-9月期は同0.3%(年率換算1.0%)増とプラスに転じたものの、わずかな成長にとどまった。個人消費が、実質賃金の伸び悩みや天候不順などで今ひとつ伸びなかった。さらに輸出は、中国をはじめ新興国経済の減速によって弱含みで推移した。設備投資も在庫調整の長期化などで力強さに欠けた。
このように、7-9月期までは鈍い回復ぶりが目立ったが、多くの民間調査機関は10-12月期以降について、堅調な企業業績と良好な雇用情勢、さらにはアメリカ向けを中心とする輸出回復期待などの好材料を背景にプラス成長が続くと予想していた。しかし、それらが個人消費や設備投資を押し上げる力は弱く、景気持ち直しのペースは15年度内緩やかにとどまる、とする見方が支配的である。
2015年のGDP成長率に関しては、実質で0.4%、名目で2.5%だった。(2016年2月15日 四半期別GDP1次速報より)

企業収益は堅調

上場企業の収益は、4-9月期の全産業売上高(金融を除く)が前年同期比3.9%増、連結経常利益が11.1%増と堅調だった。当該期の経常利益は4年連続増加。10-12月期がマイナスに転じたものの、15年度通期(16年3月期)は、全産業売上高が前期比2.2%増、経常利益が6.9%増となり、経常利益に関しては、過去最高となる見通し。

雇用環境は一段と改善

改善傾向が続く雇用情勢は一段と好転した。1月に3.6%だった完全失業率は、4月以降3.3%前後で推移。10月には3.1%と、1995年7月以来、20年3ヵ月ぶりの低水準となった。11月には3.3%に上昇したものの、年間を通して良好だった。有効求人倍率も、1月の1.14倍から改善が続き、11月には1.25倍となった。

円安・株高・原油安

円相場は、円安基調が続いた。年末(12月30日)終値は、120円41銭。
株価は、日経平均が2万円を突破した時期もあった。中国経済の減速も影響したが、年末終値は1万9,033円71銭と前年末終値から9.0%も上昇した。
なお、アメリカ連邦準備理事会(FRB)が12月16日、9年半ぶりの利上げを決定した。
原油価格は、前年同様、秋から年末にかけて下落した。原油安を受け、国内のレギュラーガソリンの全国平均価格(店頭価格)は、12月24日時点で123.5円/リットルと前年12月22日時点の149.1円に比べ25.6円も値下がりした。

2.国内消費関連~インバウンド市場は絶好調

国内の消費関連では、百貨店、スーパー、コンビニエンスストアの売上高は3月に前年の消費増税に伴う駆け込み需要の反動で、百貨店を中心に大きく減少したが、4月以降は持ち直しの傾向が続いた。白物家電の国内出荷額も4月までは前年割れで推移したが、5月以降は回復し、11月まで7ヵ月連続で前年を上回った。一方、AV機器は低迷から脱していない。国内新車販売台数も前年割れが続いた。年間販売台数は登録車が前年比4.2%減、軽自動車が4月の軽自動車税の増税が影響して16.6%減、合計で9.3%減と約1割減少した。携帯電話端末は、15年度通期は総出荷台数が前年度比3.6%減の3,650万台、このうちスマートフォンは0.4%増の2,760万台、フィーチャーフォンは14.4%減の890万台となる見通し。パソコンは4-9月の出荷台数が、前年のWindowsXP搭載パソコンの入れ替え特需の反動で前年同期比29.5%減の474万台と大きく減少した。Windows10が発売された7月以降も好転の兆しは見られず、15年度通期では984万台と1998年度以来の年間1,000万台割れの見込み。タブレット端末は4-9月の出荷台数が前年同期比8.0%増の446万台、15年度通期では5.5%増の980万台の見通し。12インチ以上の大画面タブレットが牽引役となっている。一方、デジタルカメラの1-10月の国内出荷台数は、レンズ一体型が前年同期比17.3%減、レンズ交換式が9.8%減、全体で15.0%減と前年に続いて振るわなかった。住宅着工戸数は消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が和らぎ、春以降は概ね増加傾向が続いた。1-11月の累計着工戸数は前年同期比5.0%増となった。しかし、マンションの発売戸数は年間見込みで首都圏が8.3%減、近畿圏が1.1%減と低調だった。旅行は、3月に開業した北陸新幹線効果などで国内旅行は好調だったが、海外旅行は円安による割高感などで低調だった。訪日外国人数は、大きく増加した。前年比47.1%増の1,973万7,400人。国内消費も前年比71%増の3兆4,771億円で過去最高を記録するなど、インバウンド市場は拡大した。外食は、ファミリーレストランやディナーレストラン、喫茶などが年間を通して堅調だった。低迷していたファストフードも年後半は回復の兆しが見え始めた。近年、人気が高まっているハロウィーンが例年以上の盛り上がりを見せた。仮装やコスプレなどの関連商品の市場規模は1,220億円と、前年比で10%以上伸び、バレンタイン商戦に匹敵する市場となった。

3.ヒット・話題商品など

・塩パン ・機能性ヨーグルト ・大人向けの炭酸飲料や味付き天然水 ・クラフトビールや新しい飲み方提案のバーボンウイスキー ・赤い口紅 ・ガウチョパンツ ・超望遠撮影が可能なコンパクトデジタルカメラ ・芯が折れないシャープペンシル ・世界最軽量の紙パック式掃除機 ・手のひらサイズの世界初ハンディ洗濯機 ・高級トースター ・ライトウェイトスポーツカー ・機能性フライパンや鍋 ・お笑いタレント芥川賞作家の書籍 ・感情認識ヒューマノイドロボット ・定額制音楽や動画配信サービス ・北陸新幹線 ・LCC専用ターミナル ・「スターウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」や「妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」 ・FIFA女子ワールドカップ・カナダ大会 なでしこジャパン準優勝 ・ラグビー・ワールドカップ・イングランド大会 日本代表が1次リーグで優勝候補の南アフリカに勝利