コロナ状況下での柔軟なプロジェクト推進

大塚製薬のポカリスエットは、ブランドコンセプトである「生命力」を伝えるために、2016年からダンスを通したコミュニケーションを実施してきました。

そして2020年は、「渇きを力に変えてゆく。」という新たなコピーでコミュニケーションをアップデートし、「合唱」をテーマとした新たな表現に進化させていく予定でした。

しかし、3月中旬に予定されていた撮影を前にした2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府から全国の小中高校に臨時休校要請が出されたのです。

これまでにない事態の発生に、急きょクライアントと協議を行いましたが、予定していた撮影は断念せざるを得ませんでした。さらに、この深刻な情勢の中、ポカリスエットの春キャンペーンそのものの中止も検討しなければならない状況となってしまいました。

逆転の発想でのキャンペーン提案

クライアント社内で対処が議論される中、私たちのチームは、この特殊な事態の中でもお客様とのコミュニケーションを続けられる方法がないかを模索していました。

プランニングの際に、チーム内で共有したことは、

  • スピード感を持って、前例にとらわれず柔軟に変更・判断していくこと
  • 当初からのブランドメッセージは一貫して守ること

という2点です。

そして私たちが着目したのは、メインターゲットである今の中高生たちは、動画投稿ソーシャルメディアなどで、自らのパフォーマンスを上手に表現できる世代であるということ。その彼らの力を借りて、自分たちの歌を“自分たち”で撮り、全員でつなぎ合わせるという方法はできないだろうか?中高生たち自身を起用した上で、これまでにない新しいやり方、逆に言えば、「今だからこそできる」手法があるのではないか?そんな撮影方法とプロモーション施策を編み出し、プレゼンテーションさせていただくに至ったのです。

そうして3月5日には、クライアントの社長へ撮影方法の変更と、新プロモーション施策を提案。春キャンペーンは予定通り継続、との決断を頂きました。

それだけでなく、「メッセージを届けたい中高生をはじめ、クライアント社員全体を含め、全てのお客さまに向けたコミュニケーションとして、できるだけ早く実現させてほしい」との熱い希望も頂きました。本来は4月16日に開始予定のキャンペーン。クライアントと私たち電通チームがこれまで以上に一丸となって業務を進め、結果、開始を1週間程度、早めることができました。

リアルな「今」を過ごしている97人の中高生たちと、異例の共同作業

キャンペーンCMでは、新ヒロインの汐谷友希さんと97人の中高生たちが、自分が生活する場所から、自分らしく、ひとつの歌を合唱しました。そして彼らそれぞれが撮影した映像を、ひとつの作品に編集し、コロナ禍における中高生のリアルな思いを声に乗せた「NEO 合唱」を完成させたのです。同時に、彼らの「今」をドキュメンタリーウェブ動画としても記録し描くことで、テレビCMとの相乗効果を生み出すこともできました。

これまでにないキャンペーンがスタート ~ニューノーマル時代のCM制作とは

そして4月10日。キャンペーンは無事、開始しました。

私たちが想像した以上に、キャンペーンはメディアで大きく取り上げられました。社会がさまざまな制限を強いられ、コミュニケーションの新しい方法を模索している中、より多くの方々に興味を持って知っていただくこととなったのです。

先の見えない危機的な状況ではありましたが、手法を変えながらスピーディーに、しかしブランドメッセージには徹底的にこだわって取り組むことで、私たちはこれまで以上に、変化する社会、そして若者たちの「今」に迫ることができたのではないかと感じています。

続行不可能かと思われるプロジェクトでも、アイデアと実行力で、困難を乗り越える。この思いで今後も取り組んでいきたいと考えています。

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ポカリスエット 公式サイト ギャラリー

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担当者:電通 福地