2015年3月期連結決算(IFRS)に関するお知らせ

― 電通、増収増益の好決算を発表 ―
収益7,286億円(前期比10.4%増)、売上総利益6,769億円(同10.1%増)
営業利益1,323億円(同23.3%増)
当期利益(親会社の所有者に帰属)798億円(同20.1%増)
調整後営業利益1,319億円(同5.1%増)
調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)928億円(同10.0%増)


株式会社電通(本社:東京都港区、社長:石井 直、資本金:746億981万円)は、本日、東京・汐留の電通本社ビルで取締役会を開き、2015年3月期(2014年4月1日~2015年3月31日)の連結および単体の決算を確定しました。なお、本決算から国際的な比較可能性を高めるため、IFRS(国際会計基準)を適用しており、前期との比較のため2014年3月期(2013年4月1日~2014年3月31日)についても、IFRSに準拠しています。

<当期の概況について>
2014年度の日本経済は、政府・日銀の積極的な経済・金融政策を背景に、企業収益の改善、雇用の持ち直しや賃金の上昇などにより、緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界的には、米国経済は堅調に推移しているものの、新興国における成長率の鈍化や政情不安により先行き不透明な状況が続きました。
2014年(暦年)の「日本の広告費」(当社調べ)は、6兆1,522億円(前年比2.9%増)と、3年連続で前年実績を上回りました。消費税率引き上げ前の駆け込み需要や「ソチオリンピック2014」などで伸長した後、消費税率引き上げによるマイナス要因などがあったものの、「2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会」などにより緩やかに成長を続け、通年では6年ぶりに6兆円を超えました。
また、当社グループのグローバルネットワーク・ブランドのひとつでメディアエージェンシーであるCarat(カラ)が、2015年3月に取りまとめた2014年の世界の広告費成長率は前年比4.6%増でした。地域別では、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(以下「EMEA」)が同2.6%増、米州(以下「Americas」)が同5.2%増、アジア太平洋(除く日本。以下「APAC」)が同6.2%増となっています。
こうした環境下、当期における当社グループの業績は、国内事業においては、売上総利益が前期に比べ1.7%増加しました。消費税率引き上げの影響があったものの、「2014FIFAワールドカップ ブラジル大会」や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のスポンサーシップ・セールスなどの貢献もあり、前期を上回ることができました。また、当期における海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は、新規顧客の貢献もあり、前期比10.3%増と二桁の伸びを記録しました。地域別に見ても、EMEA(同9.7%増)、Americas(同7.9%増)、APAC(同14.4%増)と、いずれも前期を上回りました。

この結果、当期の連結業績は、収益 7,286億26百万円(前期比10.4%増)、売上総利益 6,769億25百万円(同10.1%増)、営業利益 1,323億5百万円(同23.3%増)、調整後営業利益※1 1,319億37百万円(同5.1%増)、当期利益(親会社の所有者に帰属) 798億46百万円(同20.1%増)、調整後当期利益※2(親会社の所有者に帰属) 928億75百万円(同10.0%増)となりました。

※1 調整後営業利益は、会計上の営業利益から、買収に伴う無形資産の償却、減損、固定資産の売却損益、M&Aに伴う費用などの一時的要因を排除した定常的なビジネスのパフォーマンスを測る利益指標です。
※2 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)は、当期利益(親会社の所有者に帰属)から、営業利益に係る調整項目、アーンアウト債務・買収プットオプション再評価損益、これらに係る税金相当などを排除した、親会社所有者に帰属する定常的な損益を測る指標です。

当期における報告セグメントの業績は、次のとおりです。
a.国内事業
国内事業の売上総利益は3,339億95百万円(前期比1.7%増)、調整後営業利益は797億35百万円(同2.8%増)となりました。
b.海外事業
海外事業の売上総利益は3,432億32百万円(前期比19.6%増)、調整後営業利益は526億円18百万円(同9.6%増)となりました。

なお、海外子会社など、決算日が12月31日の会社については、2014年1月1日~2014年12月31日の12カ月間の実績を反映しています。

連結業績には、当社単体の業績が大きく影響しています。当社単体の業績(日本基準)は、売上高 1兆5,351億5百万円(前期比1.3%増)、売上総利益 2,231億65百万円(同1.7%増)、営業利益 524億21百万円(同3.6%増)、経常利益 764億58百万円(同9.7%増)、当期純利益 639億50百万円(同36.2%増)となりました。

当期の連結業績および単体業績の詳細につきましては、https://www.dentsu.co.jp/ir/ をご覧ください。

<2014年度の業績ハイライト>
●グループ連結の売上総利益で5.8%のオーガニック成長(為替やM&Aの影響を除いた内部成長率)を達成。
 ・日本では、電通単体が過去最高の売上総利益を達成し、国内事業全体では2.2%のオーガニック成長を達成。
 ・海外では、電通イージス・ネットワークがすべての主要地域において業績を拡大し、売上総利益では海外のメガエージェンシー4社を凌ぐ10.3%のオーガニック成長を達成。
 ・売上総利益に占める海外事業構成比が50.7%となり、初めて国内事業構成比を上回った。
●グループ連結の調整後オペレーティング・マージン(調整後営業利益÷売上総利益)は19.5%(2013年度は20.4%)。
 ・海外事業の経営基盤整備に伴うコストの増加が要因。
●電通単体では「2014FIFAワールドカップ ブラジル大会」や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」関連のビジネスが収益拡大に寄与。
●引き続き成長のための企業買収を行い、2014年(暦年)に25社を買収。
●2015年3月31日時点の純有利子負債に対するレバレッジ率はEBITDA(営業利益+減価償却費+減損損失)ベースで0.25倍となっており、依然として強固な財務基盤を維持。
●株主還元のため、期末配当を従来予想の20円から35円に増配すると共に、資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため、200億円を上限に自己株式の取得を行う方針を決定。

■2014年度の連結業績ハイライト表

■調整後営業利益から営業利益への調整額

<社長メッセージ:代表取締役社長執行役員 石井 直>
2014年度は、中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」の2期目にあたると同時に、IFRSを適用した通期決算を発表させていただく最初の事業年度となりました。顧客の皆様から評価していただいた結果、当社グループ全体では、2014年(暦年)の世界の広告市場成長率(4.6%増)を上回る、5.8%のオーガニック成長を達成することができました。
今後も、グループの中核を担う日本市場における更なる事業成長に加え、現在120を超える国と地域に広がるグローバルネットワークを最大限に生かすことで、顧客企業の成長をワールドワイドで支援させていただくべく、グループ全体が一丸となって取り組んでまいります。

1.経営の基本方針と経営目標について
当社グループは、「マーケティング・コンバージェンスをリードする真のグローバルネットワークへの進化」を目指しており、この基本方針のもと、現行の中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」では以下に掲げる4つの戦略骨子を定めています。

①グローバルでのポートフォリオ多極化
②デジタル領域の進化と拡大
③ビジネスプロセスの革新と収益性の向上
④コア・コンピタンスである日本市場での更なる事業基盤強化

また、上記の戦略骨子の進捗を可視化するために4つの数値目標を定めており、2014年度は次のとおりとなりました。

※調整後オペレーティング・マージン=調整後営業利益÷売上総利益
当期から従来の日本基準に替えてIFRSを適用したことに伴い、上記オペレーティング・マージンについては、従来の「のれん等償却前営業利益」に替えて、「調整後営業利益」をもとに算出することにしました。
なお、目標数値については変更していません。

2.地域別業績について
当社グループでは、主に電通単体がグループの国内事業を、電通イージス・ネットワークがグループの海外事業を統括しています。

■国内事業
当社グループの強みは日本における強固な事業基盤にありますが、当期における国内事業では電通単体において「2014FIFAワールドカップ ブラジル大会」や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」関連ビジネスの貢献もあり、単体の売上総利益は過去最高を記録。また、国内事業全体では2.2%のオーガニック成長を達成しました。
日本においてもマーケティング・コンバージェンスは一層進展していますが、電通ではそうした環境変化を踏まえ、既にCRM、ビジネス・インテリジェンス、ECといった領域においても、ケーパビリティーの強化を図っています。また、マスメディア・ビジネスにおける競争力を一層強化し、顧客の成功を多面的に支援するパートナーへと進化することで、課題解決力と収益力の向上を図っています。

■海外事業
当期の海外事業における売上総利益のオーガニック成長は10.3%となりました。これは、成長率の高い地域や領域への進出、デジタル・ケーパビリティーの強化、顧客向けサービスメニューの拡充、海外顧客の獲得および新規事業の立ち上げ、トップ20マーケットにおけるトップシェアの獲得と米国・中国事業への注力、マーケットをリードするスケーラブルな組織の継続的構築といった施策に、継続的に経営資源を傾けてきた結果であり、以下の3地域それぞれで好業績を上げることができました。

APACでは、厳しい競争環境の中、14.4%というオーガニック成長を達成しました。中国が好調であったことに加え、比較的成長率の低い市場であるオーストラリアにおいても業績は良好で、インド、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど他の地域も堅調に推移しました。急速に成長するこれらのマーケットに対して、海外顧客はより多額のマーケティング費用を投資してきています。
Americasでは、7.9%のオーガニック成長を達成しました。世界最大の広告市場である米国では、グローバル事業案件を数多く獲得できたことが成長をけん引しました。カナダやラテンアメリカ諸国も業績は堅調であり、特にブラジルやアルゼンチンの事業が大きく成長しました。
EMEAでは、比較的軟調な経済環境の中、9.7%ものオーガニック成長を達成しました。英国、フランス、スペイン、オランダ、中近東、アフリカ、北欧諸国がとりわけ好業績でしたが、東欧においてもロシア、ポーランドとその周辺地域にある多くの小規模マーケットがおしなべて堅調な業績を残しました。
なお、電通イージス・ネットワークの当期の業績には、新規に獲得した36億米ドル相当の事業案件が寄与しています。

3.M&A戦略
当社グループの事業戦略において、企業買収は戦略を加速する手段として、また多様な分野における専門人材の確保という観点からも重要な意味を持っています。最先端のイノベーションの提供、地理的な拠点の拡大、サービス・ポートフォリオの拡充、スケールの拡大などを実現するため、継続的かつ戦略的に企業買収を行っており、2014年(暦年)には25件の買収案件を手掛けました。
主に新興市場やデジタル領域に注力していますが、今後もトップライン成長や利益率の向上、既存事業とのシナジー効果が期待される領域に投資してまいります。

4.財政状態と配当方針
当社グループは強固な財務基盤を維持することで、継続的な成長に向けた柔軟な投資を可能にしています。2015年3月31日時点の純有利子負債は442億円で、2014年3月31日に比較して673億円減少しました。2015年3月31日時点の純有利子負債に対するレバレッジ率はEBITDAベースで0.25倍となっています(2014年3月31日時点では0.78倍)。
今後も強固な財務体質を有効活用し、企業価値を高める企業買収を行っていくことで、グローバルビジネスにおける成長を加速させると共に、株主還元施策を図ってまいりたいと考えています。

当社は今期の期末配当を従来予想の20円から35円に増配(中間配当を合わせ通期で55円、前期は通期で33円)する方針を決定しました。これにより、今期の配当性向(IFRSベース)は19.9%となります。また、資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため、200億円を上限に自己株式の取得を行う方針を決定しました。

5.2015年度の見通しと業績見込み
当社グループのCarat(カラ)が2015年3月に取りまとめた2015年(暦年)の世界の広告費成長率予測は前年比4.6%増。地域別では、日本が同0.9%増、EMEAが同2.6%増、Americasが同5.2%増、APACが同7.0%増となっています。

こうした環境下、次期連結業績については、収益 6,649億円、売上総利益 6,433億円、営業利益 1,000億円、調整後営業利益 1,223億円、当期利益(親会社の所有者に帰属) 635億円と予想しています。
為替レートについては、2015年1月~2月の平均為替レートを使用し、1ポンド=約180.4円で換算しています。
なお、2015年度から当社および決算日が12月31日以外の子会社の決算日を12月31日に変更する予定です。したがって、2015年12月期は、当社および決算日が12月31日以外の子会社は2015年4月1日から2015年12月31日までの9カ月決算、これ以外の子会社は2015年1月1日から2015年12月31日までの12カ月決算となる予定です。

また、暦年ベース(プロフォーマ)での次期連結業績(2015年1月1日~2015年12月31日)は、収益 7,764億円(前期比7.0%増)、売上総利益 7,351億円(同8.6%増)、営業利益 1,203億円(同12.5%減)、調整後営業利益 1,488億円(同11.5%増)、当期利益(親会社の所有者に帰属) 764億円(同6.2%減)、調整後当期利益(親会社の所有者に帰属) 990億円(同11.0%増)と予想しています。調整後オペレーティング・マージンは0.5ポイントアップの20.2%、調整後1株当たり利益は343.32円、11.0%増を見込んでいます。
なお、上記連結業績予想については2015年1月1日~2015年12月31日までの12カ月間を前提に予想しています。また、前期比は2014年1月1日~2014年12月31日までの12カ月間との比較です。

<2015年12月期第1四半期の進捗状況について>
電通イージス・ネットワークの2015年12月期第1四半期(2015年1月1日~2015年3月31日)のオーガニック成長は13.7%となりました。APACが22.5%、Americasが10.4%、EMEAが11.1%と、すべての地域で業績は堅調に推移しています。

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