◆ 2018年の世界の総広告費は、6,000億ドル突破し、過去最高となる見通し(図表1)
・2010年から2019年まで10年連続の成長見通し(図表1)
・2018年の前回予測(2018年1月)比では、市場規模1、2位の米国/中国のけん引などにより上方修正(3.6%→3.9%)(図表4)
◆ 媒体別では、二桁成長のデジタルがテレビを上回り、トップシェアに(図表2、3)
・2019年にはデジタルがシェア40%を超過する見通し(図表3)


 株式会社電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」(本拠地:英国ロンドン市)は、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」※1を取りまとめました。今回は、2017年実績の確定と2018年予測の改定、2019年の新規予測を行っています。
 2018年の世界の広告費成長率を3.9%(前回予測:3.6%)と見込むことで、総広告費は6,135億ドルに達し、過去最高となる見通しです。また2019年も、世界的にデジタル広告がけん引する形での堅調な成長(3.8%と予測)が見込まれます。これにより、世界の総広告費はリーマンショックの影響を受けた2009年以来、10年連続のプラス成長見通しとなります。
 とりわけデジタル広告費は堅調で、今後も二桁成長が続くと予測しています。その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費のシェアは38.4%となり、初めてテレビ広告費を上回ります。そして、2019年には40%超となる見通しです。

<図表1:世界の総広告費 (地域別)>


■ 世界の広告市場をけん引するデジタル広告
 世界のデジタル広告費の成長率は、2018年に12.6%(前回予測どおり)、2019年に11.3%と、二桁成長が続くと予測しています。そのけん引役は、オンライン動画広告とソーシャルメディア広告であり、2018年の成長率はそれぞれ24.6%(前回予測は24.5%)、21.6%(同23.5%)となる見通しです。なお、モバイルデバイス向けのデジタル広告は、2017年にデスクトップPC向けを追い抜きデジタル広告費内のシェアは50.3%となりましたが、さらに2018年には52.2%に達する見通しです。
 その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.4%(2,306億ドル)※2となり、初めてテレビ広告費の35.5%(2,132億ドル)※2を上回ることになります。また2018年には、調査対象の59カ国・地域のうち、21カ国・地域においてデジタルが媒体別広告費でトップになると予測しています。

<図表2:媒体別成長率予測>


<図表3:媒体別のシェア予測>※2

■ 2018年予測の概要
 2018年の上方修正の背景には、主要広告市場における堅調な成長、とりわけデジタル広告の更なる拡大と、「2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピック競技大会」「2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会」「米国の中間選挙」など大型イベントによる貢献があります。
 市場規模で世界1位、2位にある米国と中国に加え、西ヨーロッパの英国やフランス、また東ヨーロッパのロシアなどが堅調であることから、ラテンアメリカを除く全地域が上方修正となりました。
 一方、世界第3位の広告市場である日本は、緩やかで安定的な経済成長に伴い、2018年の成長率は1.5%を見込んでいます。前回予測の1.6%からわずかに下方修正していますが、これは前年実績が予想を超えて着地(予測は1.0%、実績は1.6%)したことに伴うものです。

<図表4:主要国の成長率実績と予測>

※1 電通イージス・ネットワーク(DAN)は、世界ネットワークを通じて収集した情報に基づき、59カ国・地域の広告費の成長率を独自に分析・推計して年に2回公表しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタルが含まれます。
※2 日本の広告市場のみ、上記※1記載以外の媒体の広告費(折込、DM、フリーペーパー/フリーマガジン、POP等)が含まれるため、媒体別のシェア予測においては、その部分を取り除いた数値を「世界の総広告費」(約6,000億ドル)とした上で、各媒体のシェアを割り出しています。