新聞/雑誌/ラジオ/テレビ/マスコミ四媒体広告費
マスコミ四媒体広告費(衛星メディア関連も含む):2兆2,536億円(前年比86.4%)
新聞広告費:3,688億円(前年比81.1%)
- 3月以降、新型コロナ拡大の影響により、「東京2020オリンピック・パラリンピック」をはじめ、各種イベントの中止、宣伝予算の削減に伴って、新聞出稿が大幅に減少した。7-9月期以降は徐々に回復傾向だったが、年間を通して減少。
- 業種別では、「情報・通信」は前年比107.9%で伸長。ウェビナー、リモートワーク関連、オンラインショップなどの出稿が増加した。一方、「交通・レジャー」は同51.1%と大幅に減少。特に旅行会社や芸能・芸術・文化施設、各新聞社のイベント告知が大きく減少した。
- 臨時ものの出稿は、東海・九州エリアの局所豪雨などによる大型出稿が見られたものの、全体では出稿減となった。
- 2020年のトピックスとして、中央紙・地方紙共にオンラインイベントやウェビナーが大幅に増加した。地方紙ではウェビナーに加え、YouTubeでのイベント開催など、新しい取り組みが見られ、デジタル連動がより顕著となった。今後も中央紙・地方紙ともにより拡大傾向となっていくことが期待される。
雑誌広告費:1,223億円(前年比73.0%)
- 紙の出版物推定販売金額は、前年比99.0%と16年連続のマイナスとなったが、その幅は最も小さくなった。内訳は、書籍が同99.1%、雑誌が同98.9%。一方、電子出版市場は同128.0%と引き続き大きく伸長。特にコミック誌が同131.9%、電子出版市場における占有率は約9割と、急成長した。また、紙と電子出版市場を合わせた全体も同104.8%となり、2年連続で前年を上回る結果となった。 ※数字出典:出版月報2021年1月号
- 雑誌広告費は、新型コロナの影響による宣伝予算の落ち込みやデジタルシフトの加速化、自社DX(デジタルトランスフォーメーション)事業への投資などにより、広告出稿への環境やマインドが冷え込んだこと、メディア基点では、出版社デジタル事業は好調と推測されるものの、大手出版社を中心として、ビジネスモデルの軸足をデジタル事業、コンテンツ事業などに大きく移していることもあり、年間を通じて紙媒体への回帰のスピードは鈍い傾向が続いた。今後も新型コロナの状況と主要広告主の宣伝需要を注視しながら、プロモーションニーズや手法の変化、それに伴う「紙媒体」としての価値や役割の変化などに、柔軟に対応していくと考えられる。
- 雑誌ジャンル別では、全てのジャンルで前年を割る結果となった。
- 業種別では、「家電・AV機器」が前年より増加したが、雑誌広告費でトップシェアである「ファッション・アクセサリー」、同2位の「化粧品・トイレタリー」は引き続き大幅減となった。
ラジオ広告費:1,066億円(前年比84.6%)
- 2020年のラジオ広告費は、新型コロナ拡大の影響で、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の延期やラジオ局主催のイベント中止、その他イベント告知、「交通・レジャー」「流通・小売業」などの出稿が減り、通年で大きく減少した。一方、巣ごもり需要により、ビールや、「家電・AV機器」などの出稿は増加。
- 家飲み需要の増加により、ラジオ地上波とオンライン配信でのリモート飲み会を掛け合わせた施策が実施され、好評だった。
- 今後は、オンエアの模様を動画で同時配信したり、オンラインライブを開催するなど、ラジオ地上波だけではないデジタルと掛け合わせた施策が増える見込み。
- radikoログを活用した出稿プランニング、広告効果検証ができるツール(radiko viewer、VR365)を活用した案件が増加した。
テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆6,559億円(前年比89.0%)
地上波テレビ 1兆5,386億円(同88.7%)
- 新型コロナ拡大にともなう広告費削減などの影響により、地上波テレビ広告費は1兆5,386億円(前年比88.7%)となった。
- 番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」、「FIFAワールドカップカタール2022・アジア二次予選」などの開催延期、プロ野球開幕延期、プロゴルフトーナメント中止・無観客での開催など、大型スポーツイベントの延期・中止と、広告主の業績不調による固定費削減の影響もあり出稿減となった。地域別では、通期で基幹8地区全てが前年を下回った。
- スポット広告費は、微減からのスタートとなったが4-6月期は、緊急事態宣言の影響もあり「官公庁・団体」を除くほぼすべての業種で大幅減。7-9月期も回復の兆しがみえつつも低調。10-12月期は経済活動の再開傾向がみられ「情報・通信」「自動車・関連品」が増加した。地域別では、通期で基幹8地区全てが前年を下回った。
- 2020年4月NHKが地上波同時配信サービス「NHKプラス」を本格的に開始した。すでに民放事業者はキャッチアップサービスでも順調にユーザーを増やしており、視聴スタイルを踏まえながら、広告主がテレビ放送への出稿と配信サービスへの出稿バランスを検討する可能性も想定される。
衛星メディア関連 1,173億円(同92.6%)
- 2020年3月にBS無料放送局1局が閉局、単純減となった。
- 新型コロナによる巣ごもり需要の高まりにより通販市況は堅調だったものの、通販以外の広告出稿は減少傾向だった。
- 新型コロナ拡大の影響でイベント(特にスポーツ)中止が多く発生、放送収入にも影響。
(億円、前年比%)
2019年 | 2020年 | 前年比 | |
---|---|---|---|
衛星メディア関連 | 1,267 | 1,173 | 92.6 |
BS | 932.6 | 863.0 | 92.5 |
CS | 178.0 | 161.4 | 90.7 |
CATV | 156.4 | 148.5 | 94.9 |
注)合計値は小数点以下を四捨五入
マスコミ四媒体広告制作費:2,575億円(前年比91.2%)
(注)広告制作費は、衛星メディア関連を除く新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの広告費に含まれている。
- マスコミ四媒体広告制作費のうち最も大きい地上波テレビCM制作費は、1,957億円(同93.2%)となった。新型コロナ拡大の影響による3月の「東京2020オリンピック・パラリンピック」延期から緊急事態宣言が発出された4月頃を境に、制作市場の状況が一変した。撮影・編集の延期や中止、さらには企画自体が変更といった対応が続いた。その後、徐々に感染対策を施したリモート企画制作作業も開始され、当初はリーマン・ショックを超える甚大な影響が懸念されたものの、10月以降は徐々に回復をみせた。
- 業種別では、前年を上回ったのは「官公庁・団体」1業種のみ、残り20業種は前年を下回る結果となった。四媒体業種別構成比上位の「情報・通信」「食品」「化粧品・トイレタリー」など多くの広告費上位業種の減少は制作費にも影響が波及した。特に制作費が大きく減少した業種は、緊急事態宣言で不要不急の外出に制限がかかった「交通・レジャー」、リモートワークの影響でオンライン販売が主流となった「精密機器・事務用品」「ファッション・アクセサリー」などは大きく減少した。
2020年 マスコミ四媒体広告費(衛星メディア関連も含む)の四半期別伸び率
「マスコミ四媒体広告費」(衛星メディア関連も含む)を四半期別にみると、各四半期ともに前年割れ。7-9月期からマイナス幅の改善傾向は見られる。
(前年比、前年同期比、%)
マスコミ四媒体広告費 (衛星メディア関連も含む) |
2019年1-12月 | 1-6月 | 7-12月 | 1-3月 | 4-6月 | 7-9月 | 10-12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
96.6 | 98.1 | 95.0 | 98.6 | 97.6 | 97.0 | 93.1 | |
2020年1-12月 | 1-6月 | 7-12月 | 1-3月 | 4-6月 | 7-9月 | 10-12月 | |
86.4 | 85.3 | 87.5 | 94.3 | 75.6 | 81.4 | 93.2 |