インターネット

インターネット広告費は8,680億円、前年比107.7%と推定される。

インターネット広告媒体費における小分類の変更について

スマートフォンやタブレット端末の普及等によるデバイスの多様化や広告関連技術の進展による業界構造の変化に伴い、従来の発表で採用していたモバイル広告、検索連動広告※1という小分類が業界実態に適さない面が出てきた。このため、検索連動広告を含む広告配信の新手法を包含する「運用型広告」を新たな小分類として設定した。また、デバイスの急速な多様化に伴い、デバイスを基点とした小分類は今後の発表では用いないこととする。
運用型広告とは、膨大なデータを処理するアドテクノロジーを活用したプラットフォームにより、広告の最適化を自動的にもしくは即時的に支援するような広告手法のこと。検索連動広告のほか、新しく登場してきたアドエクスチェンジ※2/SSP※3/DSP※4などが典型例。また一部のアドネットワーク※5もこれに含まれる。なお、枠売り広告のほか、タイアップ広告やアフィリエイト広告などは、運用型広告には含まれない。

  1. 2011年まで発表していた「検索連動広告」には、厳密な定義による検索連動広告には当てはまらない運用型広告も一部含まれている。
  2. アドエクスチェンジとは、複数の「アドネットワーク」やメディアから、入札方式で広告在庫を購入できるサービス。
  3. SSPとは、Supply Side Platformの略。インターネット広告で、媒体社側からみた広告効率の最大化を支援するシステム。
  4. DSPとは、Demand Side Platformの略。インターネット広告で、広告主側からみた広告効果の最大化を支援するシステム。
  5. アドネットワークとは、異なる複数のインターネット広告メディア(サイト)を束ねて広告をネットワーク配信する仕組み。

インターネット広告媒体費は、6,629億円、前年比107.1%。
インターネット広告媒体費の市場全体をみると、前年が震災等の影響で市場の伸長が鈍化したこともあり、2012年は前年比でみる限り高い成長率を示した。また、ロンドンオリンピックや衆院選などのイベントにおいては、インターネット広告の活用が進み、成長を後押しした。市場の内訳では、運用型広告が高い成長を遂げる一方で、これまでの枠売り広告は「情報・通信」などの主力業種を中心に引き続き堅調ではあるものの、次第に伸びが横ばいに近づきつつある傾向がみられる。その背景には、ここ数年続いているフィーチャーフォン広告市場の縮小が挙げられる。一方、枠売り広告においても、主流であるポータルサイトの活用だけでなく、動画などのリッチ広告、ソーシャルメディアの活用についても、さまざまな進化がみられ、「食品」「飲料・嗜好品」といった業種においては広くインターネット広告の活用が定着するなど、市場の活性化が進んでいる。
また、インターネット広告媒体費のうちの運用型広告費は、3,391億円、前年比118.9%。
運用型広告費に含まれる検索連動広告は、スマートフォンの普及拡大の恩恵を大きく受けていることもあり、引き続き拡大基調にある。また、その他の運用型広告についても、急速な技術の進展に伴って登場したRTB(リアルタイム入札)のようなターゲティング効果の高い手法は市場の注目を集め、高い成長を続けている。業種としては、金融やeコマースなどを軸に、ブランディングを目的とした幅広い業種の広告主に運用型広告の活用が拡大しつつある。

インターネット広告制作費は、2,051億円、前年比109.5%。
前年は112.2%であったため、成長率は若干の鈍化傾向となった。市場における震災等の影響はかなり小さくなっているようだが、制作単価の下落やフィーチャーフォンサイトの制作件数の落ち込みなどがマイナス要因となった。一方で、スマートフォンの普及やタブレット端末等の多様化により、アプリの開発や専用サイトの制作件数は増加した。さらに、スマートフォンの普及と連動するように市場ではSNSの活用も活発化した結果、FacebookページなどSNS関連の制作件数も大きく成長した。
業種別でみると、「情報・通信」「不動産・住宅関連」「金融・保険」「アミューズメント」などが伸長した。
今後も、インターネット広告制作費は増加する傾向にあるとみられる。広告キャンペーンにおけるウェブサイトの活用は拡大傾向にあり、ウェブサイト専用映像の制作、前述にもあるスマートフォン用のアプリ開発などが拡大を後押ししている。
また、一般広告主・通販広告主のeコマース参入ケースも、前年に続き増加の傾向にある。一般広告主は、食品・化粧品・ファッション・アパレルを中心とし、今後も幅広い業種における拡大が見込まれる。