「心が動く消費調査」をもとに分析、6つの「欲望」の内容が変化
株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:佐野 傑)のプロジェクトチーム「DENTSUDESIRE DESIGN(デンツウ・デザイア・デザイン)」(以下DDD)※1は、2021年から実施している「心が動く消費調査」※2の最新結果をもとに、人間の消費行動に強く影響を及ぼすドライバーとなる感情を分析した「11の欲望」※3を更新しました。分析の結果、「11の欲望」のうち、6つの欲望の内容に変化がありました。
<人間の消費行動を駆り立てる「11の欲望」>
今回の更新では、「現代の価値観」に関する質問を新たに30項目加えて分析することで、43項目の普遍的な「根源的欲求」と75項目の「現代の価値観」の双方から「11の欲望」の更新を行いました。構成要素である欲求因子の数(11)には変化がなく、「11の欲望」に普遍性があることが裏付けられた一方で、価値観の変化に伴って、6つの欲望について内容の更新を行いました。
<DDDが提唱する「欲望」の概念図>
■6つの欲望が変化した要因
今回の分析の結果、「11の欲望」という大きな枠組みは変わらない中で、その内容が変化していることが明らかになりました。「11の欲望」のうち半数以上である6つの欲望が変化した背景には、大きく以下の2つがあると考えられます。
1. 特殊な状況への最適化を経て、欲望をアップデート新型コロナウイルス感染症の影響下では多くの人が特殊な状況に自分を最適化していました。そこから少しずつ解放され経済活動や生活が活発になっていく中、元に戻るのではなく、その経験を通して培った自らの欲望をアップデートしていく方向に向かいました。失われた数年とするのではなく、価値のある経験にしたいという、消費者のたくましさが感じられます。
2. 一人で自分と向き合う時間から、仲間と関わり自分のスキルを実感する時間へ過去の調査において「自分と向き合う時間」や「一人で過ごす時間」の大切さが再発見されていることは、すでに明らかでした。今回の調査では、さらにもう一歩先に進化しており、それらの時間で熟成された趣味やスキルの運用傾向が高まっています。実際に趣味やスキルを通じて仲間や社会と関係し貢献することで、自らの新たな付加価値を確かめてみたいという気持ちが感じられます。
前回「11の欲望」を発表した2022年時点では、新型コロナウイルス感染症が流行する中、状況に最適化していく過程で生まれた欲望が表出していました。2024年においては、その欲望が元に戻るのではなく、経験を価値のあるものとして「たくましい進化」をしようという意思が消費者の中に生まれた結果と考えられます。
■変化のあった欲望に関する考察
④「さみしい人とは思われたくない欲望」→「わたしの役割でつながる欲望」
「孤独だと周りから思われるのは嫌」という欲望が存在していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により強制的に他者とのつながりを断たれる中で、「一人でいても別に恥ずかしくない」と考える価値観が広がり、より集団の中での自分の意味を考える欲望に変化。
⑤「マイワールドを追求したい欲望」→「腕を磨いたから、腕試し欲望」
探求したい、成長したい、といった自己実現に没頭することを望む欲望から、「没頭したい」という欲求が他因子に移行。「感動したい」という欲求が加わることにより、新型コロナウイルス感染症の影響が限定的になる中で、自分が煮詰めていたことを誰かと共有して手応えを感じたいという欲望に変化。
⑥「資本集中型浪費欲望」→「資本集中型消費欲望」
これと決めた世界で気のおけない仲間と盛り上がり、時間もお金も一気に放出して自己実現したい、という欲望から、「後先を考えずに楽しみたい」という欲求が他因子に移行。「本当は派手にいきたいけれど、そうもいかない」現実もあり、「浪費しても構わない」ではなく「現実的に行動したい、お金を使いたい」という欲望に変化。
⑧「炎上しないための欲望」→「肝心な時こそ気配を消したい欲望」
リアルでもバーチャルでも些細なことでもめがちな世の中で、「とにかく炎上したくない」という保守的な欲望から、すぐ炎上する時代だからこそ常に「みんな」の方に所属することで、「安心と安全を確保したい」と考える欲望に変化。「得するより損をしたくない」と考えるように。
⑩「あえて愛を確認したい欲望」→「愛がなくちゃね欲望」
愛があることはわかっていても、あえてそれを確認することで、「誰かとのつながりを確かめたい、ちょっと感動したい」という欲望から、「感動したい」という欲求が他因子に移行。「愛したい、愛されたい」という考えは変わらないながらも、それを消費行動などで形にすることが人生を豊かにすると考える欲望に変化。
⑪「集め方を集めていく欲望」→「あっ、コレわたしっぽい欲望」
「モノだけでなくコトも含めた思い出や物語を自分自身の記録としてためたい」という欲望に、以前は他の欲望に含有されていた「没頭したい」「後先を考えずに楽しみたい」という欲求が追加。少し変わった個性も含めた自己演出により、「周りから注目されたい、またそれも見越した衝動買いも楽しみたい」という欲望に変化。
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「11の欲望」は、電通が提唱する、事業グロースのための次世代マーケティング
モデル「Marketing for Growth」の4つのプロセスのうち、「Mechanism
Resolving(市場構造解明・インサイト解明)」に該当するサービスです。
「Marketing for Growth」については以下リリースをご確認ください。
https://www.dentsu.co.jp/news/business/2024/0130-010682.html
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<第7回「心が動く消費調査」概要>
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:15~74歳男女
・サンプル数:計3000サンプル(15~19歳、20代~60代、70~74歳の7区分、男女2区分の人口構成比に応じて割り付け)
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 時 期:2023年11月1日(水)~ 11月6日(月)
・調 査 主 体:株式会社電通 DENTSU DESIRE DESIGN
・調 査 機 関:株式会社電通マクロミルインサイト
※1 人間の消費行動に強く影響を及ぼすドライバーとなる感情を「欲望」と定義し、消費者が消費に至るまでの動機や行動を研究した結果得た知見を、パートナー企業にソリューションとして提供するプロジェクト。
※2 お金を払って買ったものや体験で、心が満たされたり、テンションが上がったり、感動・刺激を受けたなど、良い気分・気持ちが得られた消費を「心が動く消費」と定義。その背景に人々がどのような「欲望」を持ち、それが人々の消費行動に影響を与え、次の消費にいかにつながっていくかを定期的に調査している。
2022年7月14日リリース:第3回「心が動く消費調査」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0714-010534.html
2023年8月31日リリース:第5回「心が動く消費調査」
https://www.dentsu.co.jp/news/business/2023/0831-010633.html
※3 「心が動く消費調査」から得られたデータをもとに、人間の消費行動を駆り立てる感情を「11の欲望(Desire)」として可視化。普遍的な「根源的欲求」に関する質問から欲求因子を抽出し、「現代の価値観」に関する質問から欲求因子と関係性の強い価値観を判定する。
2022年6月28日リリース:人間の消費行動に影響を与える感情を「11の欲望(Desire)」で可視化
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0628-010530.html
以上
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田中、宮田、藤田
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千葉、山田
Email:ddd-project@dentsu.co.jp