カーボンニュートラルに対する意識と行動で生活者を7タイプに分類。最大は「ハッキリ関心タイプ」

 株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)は、電通グループ横断でサステナビリティに関するプロジェクトを推進する「サステナビリティ推進オフィス」および「電通Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1,400人を対象とし、第4回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」(以下「本調査」)を実施しました。なお、第1回は本年6月、第2回は8月、第3回は10月に発表しています。

 本調査では、国内外で重要なテーマである「脱炭素」と「カーボンニュートラル」に対する国内の生活者の意識や、経済産業省が発表した2050年カーボンニュートラルに伴う「グリーン成長戦略」の14の重点分野に関する過去調査結果との比較分析を行いました。さらに今回から、日常生活における脱炭素行動と暮らしにおけるメリットを整理した「ゼロカーボンアクション30」への取り組み状況についても調査するとともに、初めて、カーボンニュートラルに関する意識と行動の観点から生活者を7タイプに分類・分析しました。
 本調査は今後も定期的に実施し、公表していきます。

【今回のトピックス】
1. カーボンニュートラルに関する意識と行動の観点から生活者を7タイプに分類。構成比が24.1%と最も大きい「ハッキリ関心タイプ」は高齢層の割合が高く、新聞を情報源とする割合が高い。最も貢献期待度が高い「ガッツリ行動タイプ」は4.2%と少数だが、若年層が多く含まれることから今後の増加が期待できる。


【その他の主なファインディングス】
2.カーボンニュートラルの認知率※1は初の過半数(約52%)になった。認知までは至らない「見聞きした気がする」まで含めた割合も、4分の3超(約75%)まで増加した。

3.サプライチェーンの各プロセスにおける、カーボンニュートラルの取り組みへの認知と期待を業界別に見ると、幅広いプロセスで「自動車」が高い。また、「新しいエネルギー開発」への期待値の高い「電力」「ガス」業界、「流通過程の改善」への期待値の高い「運送・輸送」業界、「環境に配慮した企業への出資」が期待される「金融」業界など、業界により注力が期待される分野は異なる。

4.日常生活における消費費目別の「追加支出許容度」と費目別の「カーボンニュートラルとの関連性の認識」の関係性を分析したところ、関連性が高い認識があっても許容度が低いのは「消費・支払頻度が高い」費目で、関連性が低い認識でも許容度が高いのは「趣味・嗜好の出やすい」費目。

5.日常生活における脱炭素に向けた取り組みは、「ごみの分別処理」「節電」「節水」の実施度が高く、手軽かつ節約に繋がるものが上位。

6.Z世代はカーボンニュートラルの情報源として「ソーシャルメディア」や「学校や塾」が多く、「環境配慮のファッションの選択」や「シェアリング」を実践しており、その他の取り組みも含めて今後実施・導入意向は他世代よりも高いことが特徴として挙げられる。Z世代は、企業への期待度が総じて低い一方で、積極的に取り組む企業には評価が高い傾向がある。

※1:認知(率)は、「内容まで理解している」「言葉だけは知っている」と回答した生活者合計数の全体数に対する割合です。

※本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。


【各ファインディングスの詳細】
1.カーボンニュートラルに関する意識と行動の観点から、生活者を7タイプに分類。構成比が24.1%と最も大きい「ハッキリ関心タイプ」は高齢層の割合が高く、新聞を情報源とする割合が高い。また、最も貢献期待度が高い「ガッツリ行動タイプ」は4.2%と少数だが、若年層が多く含まれることから今後の増加が期待できる。

  • カーボンニュートラルに対する意識(追加費用負担許容度)と、行動(ゼロカーボンアクション30の実施・導入有無×実施・導入ハードル)でタイプ分けを実施し、生活者を7タイプに分類した。各タイプの特徴は、カーボンニュートラルにすでに貢献している「ガッツリ行動タイプ」、できることを探したい「ハッキリ関心タイプ」、思い出したら何かする「ホンノリ意識タイプ」、財布と相談したい「ジックリ慎重タイプ」、ほんの少しなら対応する「ワリキリ最低限タイプ」、動きはしない「フンワリ傍観タイプ」、興味がない「ヒトマズ無関心タイプ」。
  • 上記の7タイプは、カーボンニュートラルへの貢献期待度が高・中・低の3つのグループに分けられ、各グループの構成比は高が約3割、中が約5割、低が約2割となった。

【図表1】7タイプの特徴と出現率





※生活者のタイプ分けの考え方
  • 意識については、「追加費用負担許容」の有無により、生活者のタイプを大別。許容層は、更に許容金額の程度(6%以上/6%未満)で分け、カーボンニュートラルに関する行動の実施程度で分類を行った。
  • 行動については、「ゼロカーボンアクション30」の実施・導入割合を元に実施・導入ハードルを設定。第1ステップとしては、約7~8割の生活者が実施している「ごみを減らす」「電気等のエネルギーの節約や転換」「食関係」「衣料、ファッション関係」の有無、第2ステップとしては、約4割の生活者が実施している「住居関係」「移動関係」の有無、第3ステップとしては、生活者の実施割合が最も低い「買い物または投資」の有無でタイプ分けを実施した。


2.カーボンニュートラルの認知率は初の過半数(約52%)になった。認知までは至らない「見聞きした気がする」まで含めた割合も、4分の3超(約75%)まで増加した。
  • カーボンニュートラルを「内容まで知っている」または「内容までは知らないが、言葉だけは知っている」生活者の合計は52.1%で、「見聞きした気がする」まで含めると75.2%に達した。
【図表2】
Q. 「カーボンニュートラル」という言葉をどの程度ご存じですか。



3.サプライチェーンの各プロセスにおける、カーボンニュートラルの取り組みへの認知と期待を業界別に見ると、幅広いプロセスで「自動車」が高い。また、「新しいエネルギー開発」への期待値の高い「電力」「ガス」業界、「流通過程の改善」への期待値の高い「運送・輸送」業界、「環境に配慮した企業への出資」が期待される「金融」業界など、業界により注力が期待される分野は異なる。

① サプライチェーンの各プロセスにおいて、「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組んでいることを、認知されている業界【図表3】
「自動車」は、他の業界と比べると、川上から川下の取り組みまで広く認知されており、8つの項目で1位の認知率となった。「運送・輸送」は3つの項目で1位だが、特に「自社製品やサービスを自社で輸送・配送する際にCO2を減らす取り組み」は他業界との差が大きい。「電力会社」は「環境にやさしいエネルギーを増やしていく取り組み」、「小売」は「店舗等のお客さんが訪れる売場で発生するCO2を減らす取り組み」、「金融」は「環境に配慮した企業への投資」、「不動産」は「企業が第三者に賃貸しているビルや施設・製品等で発生するCO2を減らす取り組み」で1位となった。

② サプライチェーンの各プロセスにおいて、「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組んでいることを、期待されている業界【図表4】
認知同様、「自動車」は、他の業界に比べて、川上から川下の取り組みまで広く期待度が高い。また、各項目において認知が1位であった業界は期待度も同様に1位になっている傾向が強いが、「廃棄物処理を依頼する取引先に対する取り組み」は「資材」が、「従業員の移動で発生するCO2を減らす取り組み」は「商社」が1位となった。

③ 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組んでいることを、期待されている業界【図表5】
業界によって、注力が期待される分野は異なっている。「自動車」は、積極的な技術開発や商品開発をはじめ、さまざまな取り組みによるCO2を減らす取り組みが期待されている。業界別・取り組み別で見ると、「電力会社」「ガス会社」「石油」は新しいエネルギーの開発、「自動車」「機械」「ハウスメーカー」「AV・家電・PC」「化学」は積極的な技術開発や商品開発、「運送・輸送」「通販サイト」は流通過程の改善、「資材」は製造過程の改善、「金融」は環境に配慮した企業の出資、「商社」は海外に向けた技術輸出、「マスコミ・広告」はカーボンニュートラルについてわかりやすい説明、「農林漁業」は地域社会の持続可能性に関する取り組みに対する期待度が1番高い。取り組みに対する期待値が全体的に低い業界は、概ね「SDGsに積極的に取り組む」が1位となった。

【図表3】
Q. 以下のカーボンニュートラル、脱炭素に向けた取り組みについて、取り組んでいることを知っている業界はどれですか。それぞれあてはまる業界をすべてお知らせください。
【図表4】
Q. (サプライチェーンの各プロセス別)以下のカーボンニュートラル、脱炭素に向けた取り組みについて、今後取り組みを期待したいと思う業界はどれですか。それぞれあてはまる業界をすべてお知らせください。
【図表5】
Q. 以下のカーボンニュートラル、脱炭素に向けた取り組みについて、今後取り組みを期待したいと思う業界はどれですか。それぞれあてはまる業界をすべてお知らせください。

4.日常生活における消費費目別の「追加支出許容度」と費目別の「カーボンニュートラルとの関連性の認識」の関係性を分析したところ、関連性が高い認識があっても許容度が低いのは「消費・支払頻度が高い」費目で、関連性が低い認識でも許容度が高いのは「趣味・嗜好の出やすい」費目。

  • カーボンニュートラルの取り組みによる生活者の追加コスト負担への許容度は、費目によって異なる。その費目がカーボンニュートラルに関連しているか否かの意識と掛け合わせて分析した結果、各費目とカーボンニュートラルについての生活者の向き合い方は、大きく以下の4種類に分けられる。
① 払うことに理解が大きい(頻度少なく、単価が大きいもの)
...「航空運賃」「自動車・バイク購入費」など
② こだわりを優先したいので払う(趣味・嗜好・こだわりが出やすいものが多い)
...「教育費」「チケット代」「冠婚葬祭の費用」など
③ わかってはいるものの、抑えてはいきたい(頻度が高いものが多い)
...「宅配便・郵便代」「公共交通機関交通費」「トイレタリー」など
④ 関連性が見えず、低く抑えていきたい
...「保険代」「デジタルコンテンツ代」「インターネット接続料」など

【図表6】
Q1.以下の費目は、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現において、どの程度関係があると思いますか。それぞれについて、あてはまるものをお知らせください。

Q2.2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、国・自治体や企業・団体等が様々な取り組みを行っていく上で、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、現在の各支出に対して、月どのくらいの割合までであれば、上乗せされることが許容できますか。それぞれについて、あてはまるものをお知らせください。



5.日常生活における脱炭素に向けた取り組みは、「ごみの分別処理」「節電」「節水」の実施度が高く、手軽かつ節約に繋がるものが上位。

  • 日常生活における脱炭素に向けた取り組みである「ゼロカーボンアクション30」のうち、「ごみの分別処理」の実施度は最も高く(約8割)、「節電」「節水」「食事を食べ残さない」「マイバック、マイボトル、マイ箸、マイストロー等を使う」が実施度の高いものとして続く(約7割)。
  • 現状の実施・導入度は低いが、今後の意向・関心度が高いのは、「再エネ電気への切り替え」「消費エネルギーの見える化」「ゼロカーボン・ドライブ」「環境に配慮した服を選ぶ」「脱炭素型の製品・サービスの選択」「植林やごみ拾いなどの活動」。
【図表7】
Q. 以下の内容について、あなたは、ご自身の生活の中で、実施または導入をされていますか。それぞれについてあてはまるものをお知らせください。


6.Z世代はカーボンニュートラルの情報源として「ソーシャルメディア」や「学校や塾」が多く、「環境配慮のファッションの選択」や「シェアリング」を実践しており、その他の取り組みも含めて今後実施・導入意向は他世代よりも高いことが特徴として挙げられる。Z世代は、企業への期待度が総じて低い一方で、積極的に取り組む企業には評価が高い傾向がある。

  • Z世代が、取り組んでいることを知った・思った情報源やきっかけとしては、「テレビCM」が特に高く、次いで「ニュースサイト(Yahoo!ニュースなど)の記事」が続く。全体と比べて、「ソーシャルメディア」や「学校や塾での授業や課題で知った」が高い。【図表8】
  • Z世代は全体と比べて、「ゼロカーボンアクション30」を実施・導入している割合が少ない。一方で、「環境に配慮した服を選ぶ」「フリマ・シェアリング」に関しては、全体と比べて実施・導入割合が高い。【図表9】
  • Z世代は、全体と比べて、カーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けた取り組みを行っている企業に対しては、「世の中全体をよりよいものとするための技術開発を行っている」「事業・地域社会・環境などの持続可能性を考えている」「個人に役立つ商品やサービスを提供している」という印象が強い。【図表10】
【図表8】
Q. 先程、あなたがカーボンニュートラル、脱炭素に向けて実際に取り組んでいると思い浮かんだ企業について、取り組んでいることを知った・思った情報源やきっかけとして、あてはまるものをすべてお知らせください。
【図表9】
Q. 以下の内容について、あなたは、ご自身の生活の中で、実施または導入をされていますか。それぞれについてあてはまるものをお知らせください。
【図表10】
Q. あなたは、カーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けた取り組みを行っている企業に対して、どのように思いますか。それぞれについて、あてはまるものをお知らせください。


【本調査概要】
  • 目的:日本におけるカーボンニュートラルに関する「認知・理解」や「興味・関心」などについての現状を把握した上で、今後の浸透策を検討していくため。
  • 対象エリア:日本全国
  • 対象者条件:10~70代の男女
  • サンプル数:性年代各100名ずつ、計1,400名
  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査期間:2021年10月15日~10月17日
  • 調査機関:電通マクロミルインサイト

・ 『ゼロカーボンアクション30』の詳細(環境省ホームページ)
 https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/topics/20210826-01.html


(参考)
・第1回調査(2021年6月9日発表。調査期間2021年4月24日):
・第2回調査(2021年8月12日発表。調査期間2021年6月910日):
・第3回調査(2021年10月21日発表。調査期間2021年9月35日):
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