2018年の目標はほぼ達成、今後も多面的かつ総合的な見地から改革を推進

当社は2017年7月27日に、社内外の幅広い意見を取り入れ、経営と社員が一丸となって取りまとめた「労働環境改革基本計画」を発表し、2018年末までを「改革の推進および将来の成長に向けた基盤の整備期間」として定め、全社を挙げ改革に取り組んできました。
その目的は、法令遵守の徹底、過重労働の撲滅、労働環境の改善にあり、社長執行役員を本部長とする「労働環境改革本部」(2016年11月発足)が中心となって改革を推進するとともに、その実効性を検証するため、外部識者で構成される「労働環境改革に関する独立監督委員会」(2017年2月発足)によるモニタリングを継続的に行ってきました。

労働環境改革においては、社員の心身の健康を経営の根幹に置き、「労働時間の短縮」と「業務品質の向上」の両立を目指しています。
環境・基盤整備における改革の柱は、「労務管理の徹底と見守りの強化」「業務棚卸しによるワークダイエットと業務プロセスの改善」「ICT等の社内インフラの強化によるワークスタイルのスマート化」「オフィス環境の改善」「時間価値最大化を実現する働き方諸制度の導入」「健康管理体制の強化」「社員の成長支援」などであり、この2年間で実施した施策の数は3桁に及びました。その中には、2018年に新たに導入した「インプットホリデー」・「勤務間インターバル」・「健康経営のためのバイタリティ・ノート」などの施策も含まれています。

そしてこれらの活動の結果、次のような成果が得られました。
まず、三六協定超過者をゼロにするという優先課題については、2年間の改革推進途上において一時的に数名の超過者が見られたものの現在では解消されております。また、1人当たり総労働時間(年間)は、2016年に「2,166時間」であったものが、2017年には基本計画の目標であった2,100時間を下回る「2,031時間」となり、2018年には当年目標の1,950時間に迫る「1,952時間」となりました。その結果、1人当たり法定外労働時間(月間平均)は、2016年に「26.9時間」であったものが、2018年には「9.8時間」にまで削減されております。



加えて、1人当たり有給休暇取得率(年次)※1は、2016年に「56.0%」であったものが、2018年には「66.0%」となり、2年間で10ポイント改善するに至っており、1人当たり休暇取得日数※2についても、2016年に「12.4日」であったものが、2018年には「21.4日」へと増加しています。



なお、この2年間の労働環境改革に対する「独立監督委員会の評価」と、その推進のために投入した「労働環境改革関連コスト」は次のとおりです。

<独立監督委員会による評価>
電通における労働環境改革は、業務の削減とアウトソース、業務の効率化、人員の増員と適正配置、人材育成、健康支援など、多様な角度から総合的な見地で実施された改革であった。加えて、一連の改革を社長以下の役員が率先垂範して実行したこと、改革推進の中核として活動する専従組織である労働環境改革推進室を設置したこと、改革が社内独自の価値基準に偏ることなく客観性を保つため、有識者による独立監督委員会を設置し、常に外部委員による客観的な視点を取り入れながら改革を進めてきたことなど、取組内容および取組体制ともに、改革推進のあり方としては、ひとつのあるべき姿であったと位置づけることができる。
この2年間を通じ、労働法規の遵守、労働時間の縮減等を中心に確かな成果があがっているものの、改革はいまだ実現の途上に過ぎない。引き続き、国内グループ会社も含めた視点で、この改革を継続して成し遂げる覚悟を持ち続けていただきたい。
社員の意識から見ても、「働き方を変化させたい」「働き方について考えたり工夫したりするようになった」と回答する者が8割を超え、「改革を通じて電通は良い方向に向かっている」と回答する者がほぼ3分の2に及ぶなど、改革の成果があがりつつあるものと思われる。
電通が失った社会的信用を回復するためには、この2年間やってきた改革を継続し、さらに成果をあげること、そしてその成果を適切に社会に発信していくことが肝要である。

<労働環境改革関連コスト>
当社は「改革の推進および将来の成長に向けた基盤整備」のため、2017年に70億円、2018年に113億円、計183億円のコスト投入を行いました。主な内訳は、増員等の人件費で約35億円(2017年に13億円、2018年に22億円、2年間で約350名の増員)、業務効率化のための機械化・アウトソーシング化や業務システム等の構築ならびに労務管理の徹底費用で約116億円(2017年に40億円、2018年に76億円)、オフィス環境の改善で約32億円(2017年に17億円、2018年に15億円)となります。

今後も当社は、働き方改革関連法など社会の動きも見据えながら、多面的かつ総合的な見地から改革を推進し、「労働時間の短縮」と「業務品質の向上」の両立を実現させてまいります。

以上