動画投稿だけでつくる、世界で初めての辞書

若者を中心に支持を集めているモバイル向けのショートムービープラットフォームTikTok。ダンスなど躍動的な動画であふれていることが印象的な動画共有サービスですが、このTikTokから相談されたのは、このプラットフォームをより広いターゲットに活用していただくこと。そして、これまで以上に有用な情報発信を実現していくこと。すでに世界150の国と地域のユーザーからの人気を確立しているサービスだけに、そこにはまったく新しい発想が必要でした。

既存のサービスに新しい価値を

この課題に応えるべく、電通のクリエイティブチームが提案し、共同で開発したのが、投稿動画による辞書。TikTokの特徴である短い動画を使って世界のあらゆる言葉や概念を視覚的に伝える、これまでにない辞書です。辞書は本来、言葉によって言葉を解説するものです。しかし往々にして言葉だけの表現は、個々人の持つ先入観により固定イメージを持たれやすい傾向があります。そしてこの固定イメージは、国や地域、民族や文化によってさまざまに異なっています。そこで、TikTokが持つ、世界中の異なる価値観のもと撮影された多種多様な動画表現を使用して、視覚的に概念を伝えられる辞書ができないかと考えたのです。

TikTok + Dictionary = TikTionary

そうして開発した辞書が「TikTionary(ティクショナリー)」です。「TikTionary」は、TikTok + Dictionary(辞書)を組み合わせた造語です。
例えば「#GREETING(あいさつ)」を引いてみます。すると、名刺を差し出す舞妓さん、ハイタッチするチームメート、匂いを嗅ぎ合う動物など、国や性別、立場によって解釈の異なるさまざまな映像が表示されます。また同じく「#HERO(ヒーロー)」を検索すれば、ヒーローのコスプレをする子どもをはじめ、わが子から見た父親、はたまた懸命に消火活動をする消防士が現れるなど、TikTionaryならではの多様な解釈が登場します。TikTionaryは、一つのコトバに対して思い込んでいた固定イメージを超えて、世界の面白さや多様性に気づくきっかけにもなるサービスソリューションなのです。

開発に際しては、実際に一般ユーザーがTikTokに投稿した動画のハッシュタグの解析・再編集を行い、思い込みや偏見を取り払ったコンテンツを表示する仕組みをつくりました。ある一つのキーワードを17カ国の言語に自動翻訳し、さまざまな同義語でのハッシュタグで投稿された動画を一度に楽しめる仕掛けとなっています。辞書とは言いつつも、そこには楽しさも付加され、ステレオタイプを壊す新しいエンターテインメントコンテンツに仕上がりました。

教育や異文化コミュニケーションへの活用も

サービス開始は2019年11月16日の「国際寛容デー」。異文化間での多様性の尊重や、さまざまな価値観を超えて調和を見つけていく日です。近年、海外渡航者が減少しつつある20代の若者に、異文化への興味関心を高め、世界へ視野を広げるきっかけづくりを推進していく気持ちも込めました。その思いに対し、文部科学省の官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」をはじめ、公益財団法人「AFS日本協会」、特定非営利活動法人「日本国際交流振興会」(JFIE)や、さまざまな分野の企業から賛同を頂きました。また、大学などの教育機関の現場でも教材としての活用が始まっています。

ジェンダーレス・エージレス・ボーダーレスのさらなる実現のために

さまざまな境界を超えて、これからの世代がみんなで一緒につくるユニークな辞書「TikTionary」。
ひとつのコトバに対して思い込んでいたイメージや、自分だけの世界を乗り越え、世界の面白さや多様性に気づく。それは人と人とのコミュニケーション機会を創出し、さまざまな分断をなくしていく。
そんなムーブメントをつくっていくことが、TikTokの新しい存在価値、For Goodな在り方として加わったのです。

「TikTionary」に関するお問い合わせは、最下部「お問い合わせフォーム」から本件担当者名を明記の上、お願いします。
担当者:電通 木津孝次郎/電通クリエーティブフォース 松本昇太