共創による新たな地域活性モデル「街の強さひきだすプロジェクト」とは

人生100年時代と言われ、少子高齢化も進む中、地域にとっては住民が長い人生を健康に過ごし、街が活性化することは大きなテーマになっています。企業としても、今後はそういった地域への働きかけを行うことが重要な企業活動になるでしょう。
そんな中で私たちが取り組んでいるのが、2022年6月からスタートした富山県砺波(となみ)市と明治の「街の強さひきだすプロジェクト」です。砺波(1073トナミ)と、明治の1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルト「R-1」という、“1073”の縁で生まれたものであり、行政・企業・市民の共創で行う地域活性化モデル。どんなものなのか紹介します。
住民の健康不安に取り組むことで、地域と企業双方のプレゼンスアップに
このプロジェクトのきっかけになったのは、健康や未来に対する人々の不安です。
人生100年時代の中で、いつまでも健康でいたいと願う人は増えているはず。一方、人生が長くなる分、健康への不安も強くなっているのではないでしょうか。加えて、ここ数年はコロナ禍で人々の生活も制限され、安心できる暮らしや日々を充実させることがこれまで以上に難しくなったのも事実です。
こういった社会課題に対して、地域が取り組むのはもちろん、企業も自社の資産を生かしてバックアップすることが求められています。
そのような考えから、富山県砺波市と明治様による「街の強さひきだすプロジェクト」を着想しました。

もともと、電通は今後のPR活動を提案しており、砺波市からは明治様のお客様相談センターに問い合わせがあったという背景も。この中で、冒頭で述べた“1073”の縁を感じ、共創のアイデアを思いついたのです。
こうして生まれた「街の強さひきだすプロジェクト」では、砺波市と「R-1」が年間の体調管理パートナー契約を結び、市民の体調管理、さらには街の体調管理を行います。設計のポイントは、このプロジェクトが砺波市と明治「R-1」双方のプレゼンスアップにつながることです。
この取り組みによって市民1人1人の健康増進が実現し、心の健康もサポートして市民の活動量が増加すれば、砺波市全体が活性化します。そして、市民の体調管理を「R-1」が支え続けることで、「R-1」が“人々の体調を整える”というイメージも浸透するでしょう。こうして双方のプレゼンスアップになると考えました。
目指すのは、心身の健康による「街全体の活性化」
プロジェクトが目指すのは、市民の「からだの健康(活動量)」と「こころの健康(幸福度)」の両面を向上し、心身の健康の先にある「個人の生活充実」、そしてその集合体である「街全体の活性化」を目指すこと。

とはいえ、こういったプロジェクトはきちんと地域に根付いた活動にすることが大切です。そこで、私たちは3つのポイントを設けました。

1つ目は、先述した「体調管理パートナー契約」という言葉です。このプロジェクトは、いわゆる包括連携協定の枠組みなのですが、その言葉はあえて使わないようにしました。市民の方に親しみやすく、プロジェクトの意味を伝えやすくするためです。
2つ目は、砺波市役所内に庁内横断のプロジェクト組織「1073体調管理チーム」を新設したこと。それだけ本気で取り組むといえます。
3つ目として、砺波市民が参加する「強さひきだすアンバサダー」制度を創設。市民がこのプロジェクトのアンバサダーとなり、健康増進イベントへの参加やSNSによる情報発信を行っていただきます。それにより、自治体・企業・市民の共創を後押しすることが狙いです。
そのほか、プロジェクトの目的である「街の活性化」が実現したかどうかを測るため、市民のウェルビーイングに着目。幸福学の第一人者である慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長の前野隆司教授に監修を依頼し、心身両面の健康状態を測定していく予定です。
すでに高齢者向けの体操教室や、認知拡大のイベントを実施
では、具体的に何をしていくのでしょうか。プロジェクトでは健康増進活動の「3つの柱」を掲げました。「1、高齢者の健康増進」「2、学びの充実による次世代の育成」「3、青・壮年期の健康寿命延伸」です。

「1、高齢者の健康増進」については、すでに活動を実施。「いきいき百歳体操チャレンジ教室」と題して、高齢者の筋力維持などを目的とした体操教室を2022年6月〜8月に計12回開きました。9月以降はエリアを拡大し、いきいき百歳体操チャレンジ教室が継続されています。
体操に加えて、ヨーグルトやシニアの健康に関する出前講座も実施。体操教室の終わりには、参加者が談笑しながらR-1を喫食する機会も設けました。
参加者からは「コロナ禍で体を動かす機会が減少していたが、良い運動の機会になった」「教室で学んだことを生かし、家でテレビを見るときの姿勢にも気をつけるようになった」といった声も。なお、教室が終了した9月以降も、自主的に活動を継続している方たちがいるようです。


また、野菜摂取を促進する「となベジプロジェクト」を通じて、「3、青・壮年期の健康寿命延伸」も行っています。
そのほかプロジェクトの認知拡大のため、8月にはイオンモールとなみで「街の強さひきだすプロジェクト 夏祭り」を開催。会場内には、体を動かしたり、自分の基礎体力をチェックしたりする体験型コンテンツを多数用意し、スタンプラリー形式で楽しめる設計にしました。





2日間の開催でしたが、全コンテンツで各1000名以上が参加。来場者数も昨年同曜日を上回る結果となりました。
お子さまだけでなく、保護者や高齢者の方にも楽しんでいただけたのが良かったと感じています。TVや新聞でも取り上げられ、認知拡大につながりました。
今後は効果測定も。いずれモデルケースとしてこの取り組みを全国に
今後は「3つの柱」で触れている次世代(子どもたち)に向けた取り組みを開始する予定です。また活動の“効果”を測るため、ウェルビーイング計測に向けた動きも進めたいと考えています。
さらに、このプロジェクトが全国のモデルケースとなるべく、それぞれの取り組みを進化させたいです。現在は北陸エリアでの情報発信に限られていますが、全国発信も強化していきたいと思っています。
その結果、人生100年と言われるこの時代に、自治体・企業・市民が共創しながら人と街を元気にするモデルとして、プロジェクトが全国に広まるのが理想です。そんな思いを胸に、引き続き取り組みを進めていきます。
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担当者:電通 森川敬太