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AX #1

AX

Advertising Transformation

アドバタイジング トランスフォーメーション

AX #1

デジタルデータで広告効果を最大にする、
AXの「高度化」とは

広告効果とは、
「どれだけ事業の成長に貢献できているか」の分析である

私たち電通は「AX(Advertising Transformation)」に取り組んでいます。AXとは、広告の価値を最大化していくことといえます。

そもそもなぜAXが必要なのでしょうか?
電通は、顧客企業の持続的成長にコミットしていきたいと考えています。企業が成長するための重要な要素の一つにマーケティングという領域があり、その中には広告という領域が存在します。つまり、この広告という領域において効果を最大化することは、顧客企業の持続的成長に欠かせないミッションなのです。したがって電通では常に、「事業の成長、端的には商品やサービスが売れることにどこまで貢献できたか」の視点で「最大化できているか?」を自問しています。

これは一つの方程式で決まるものではないですし、生活者の環境が変化することでも当然変わります。常に施策を分析し、その分析結果を施策に反映しながら、常に最大化を求めていく。それができるようになることこそ、我々の取り組む「AX(Advertising Transformation)」です。

では、どのようにAXを行うかというと、「高度化」と「爆発力」の2軸で進めていきます。
「爆発力」については別の記事で詳しく触れていますので、本記事では、もうひとつの「高度化」について説明したいと思います。

テクノロジーにより、今まで追いきれなかった広告の効果がわかるように
それを詳細に分析し、「高速PDCAを回せる」仕組みを構築したい

これまで、ひとつひとつの広告の効果を詳細に分析し、PDCAを回しながら改善していくには、効果検証のデータが十分とはいえませんでした。その結果、それを高速に広告施策に反映する手法もありませんでした。いち早くその面が進歩したインターネット広告に比べると、テレビやラジオ、新聞、雑誌、OOH(屋外広告)は不足していたといえます。同時にこれらの効果を施策(メディア)をまたいで評価することも十分ではありませんでした。

しかし、テクノロジーの進歩で今まで見えなかった広告の効果、追いきれなかった反応がわかるようになってきました。その技術を活用し、広告の新しい評価指標をもとに、より効果の高い広告を、効率的に運用していくことが取り組みのテーマです。

広告効果を上げることは、広告主の方のサポートになるだけでなく、メディアの成長も後押しできると信じています。効果の高い広告を効率的に打てれば、メディアに携わる人々は、クリエイティブな作業や機械が代替できない作業に集中できます。それは、コンテンツの質を上げることにつながるのではないでしょうか。もちろん、広告効果が高まれば、制作費の確保にもつながるはずです。高度化したことにより、広告主も成長し、メディアも成長する好循環を生んでいく、これはまさに電通のやるべき仕事だと思っています。

AXの「高度化」で取り組むのは、広告の基本である「PDCAを高速で回せる環境づくり」です。ひとつひとつの広告について、効果測定や改善点の分析を行い、その結果を次の広告に反映していきます。電通はさまざまな企業の広告をお手伝いする中で、知見を蓄積し、それらをまた企業に還元するハブになれればと考えています。それが私たちの役割であり、そのために、すべてのキャンペーンで高速のPDCAを回す仕組みを構築していきたいと思います。

そのために「今」集中して取り組むべきことは、以下3つだと考えています。
(1)業務のデジタル化
(2)データによる可視化
(3)取引形態の進化

「(1)業務のデジタル化」は、PDCAを高速で回すための土台となります。業務を高速化するには、紙や人の手で行っていた広告出稿の作業をデジタルに置き換えることが必要です。また「(2)データによる可視化」を達成するためにも、デジタル化が不可欠となります。

「(2)データによる可視化」は、PDCAのC(Check:確認/評価)に当たります。広告の効果を測定できなければ、PDCAは回せず、次の広告に活かせません。先ほど述べたように、テレビやラジオ、OOHもテクノロジーの進歩で詳細な効果測定ができるようになっています。これらを活用していきます。

たとえばテレビは、インターネットに結線されたテレビが約5割に増えています。そこで、個人を特定しない形でテレビの視聴データとスマホの検索データや位置情報を絡め、どんな属性の人が広告を見て、その後どんな行動をとったか分析することが可能です。かつてテレビは、M1層やF1層など、性別・年齢で視聴者層を区切るのが主流でしたが、今は年収や家族構成、趣味嗜好(しこう)など、細かな属性で分析できます。

OOHについても、スマホの位置情報をもとに、広告を目にした人を大まかにピックアップできます。そして、その後の行動から広告効果を測定する手法が開発されています。今まで見えなかった広告効果を測る仕組みが整備されているのです。

こういったデータで広告を分析すると、今までのセオリーとは違った広告プランの方が効果的なケースも出てくるでしょう。たとえば、従来なら19〜23時のゴールデン・プライム帯がテレビ広告のメインでしたが、広告の中身によっては、深夜帯の方が視聴者に占めるターゲットの割合が高い可能性が出てきます。

そうなると、今までとは異なる柔軟な広告枠の買い付けが求められます。そこで必要なのが「(3)取引形態の進化」です。

仮にSNS上の話題化を狙ったキャンペーンなら、その広告を流す枠は「ツイッターでつぶやく頻度の高い視聴者」が多い時間帯がベストです。デジタルデータでその時間帯を割り出すことはできますが、今までのテレビ広告は出稿パターンが限定されていることが多く、対象の時間帯にピンポイントで広告を打つには不便でした。その点を改善し、より柔軟に広告枠を設定できるようにしていきたいと思います。

さらに、番組内容や気象状況などに合わせて広告素材を直前に入れ替えるなど、新しい取引形態のシステムも作っています。これらは、AIや量子コンピューターなどの活用によって進んでいます。すでに実践した例もあり、商品の売上アップに寄与したケースも出ています。

AXの「高度化」は、まず広告業務をデジタル化し、その上であらゆる広告の効果をデータで可視化する。さらに、広告の取引形態を進化させ、効率的に広告を届ける。こうして広告効果を最大化していくのが、この取り組みの趣旨です。そうして、より良い広告ができると、メディア自体の活性化にもなります。そこまで見据えてプロジェクトを進めていきます。

AX「高度化」を実現する、3つの仕組み
データの可視化により、視聴率とは違う広告枠の価値が見えてくる

では3つの取り組みの具体的なソリューションについて、詳しくお話ししたいと思います。ここではわかりやすく説明するために、まず「(2)データによる可視化」から触れたいと思います。

前述の通り、現在は昔に比べ、テレビ・ラジオなどの視聴率・聴取率データを細かく取得することが可能になっています。こういったデータの可視化は、効果的な広告戦略につながります。仮にAという商品のテレビCMを流す場合、商品Aをよく買う人の属性や年収、ライフステージや趣味をデータで分析します。こうして商品Aのターゲット層が明らかになったら、その層が見ているテレビ番組を視聴データから分析。両方のデータが重なり合う番組にCMを流すといった戦略が可能です。すでに電通の「People Driven TV Planning」では、こういったデータ分析による広告プランニングを行っています。

すると、これまでテレビ広告は視聴率を基準に決めていたのが、全体視聴者のうち「自社商品のターゲット層が何%いるか」が重要になります。100万人が見ているゴールデン番組と40万人が見ている深夜番組をくらべたとき、実は深夜番組の方がコアターゲットは多いかもしれません。実際、ある転職サイトのCMは、ゴールデンよりも金曜深夜や日曜夜の方が視聴者のサイトアクセス率は高く出ました。金曜深夜は仕事の疲れが溜まる、日曜夜は翌日からの仕事が始まることに思いをはせるタイミングであり、転職を考える人が多いのかもしれません。そういった細かな効果を測定するのが「データの可視化」です。

裏番組の動向や天気を見ながら、
AIが最適な広告を自動で割り付け

こうしてデータを可視化したら、効果が見込める枠に広告を柔軟に打てる運用システムが必要です。それが「(3)取引形態の進化」です。

ここでもテレビを例に出すと、従来、テレビの広告枠の出稿パターンは限定されていました。この出稿パターンをより柔軟に選べるようにしていくため、広告の購入金額も加味したうえで、効率的なゾーンを選定、バイイングすることを可能にする「ESP」を開発しました。

また、全番組の将来の広告効果をAIを用いて予測する「SHAREST」というツールを開発。どの番組でどの広告素材を流すと効率的であるかを事前に把握し、適切な広告投下を可能にしていきます。

さらに、上記広告効果の予測をもとに、1つの企業が持つ複数のCMの中から、最適な素材を選んで自動で割り当てる「RICHFLOW」というツールもあります。
仮に同じ企業の商品Aと商品BのCMがあったとして、1週目に流したCM効果をAIが分析し、結果いかんでAとBの枠を自動で入れ替えるなども可能です。同じ企業のCMだけでなく、異なる企業のCMを入れ替える機能もスタートさせています。

わかりやすい事例が、森永製菓のアイスクリーム商品のCMです。電通では、日本気象協会とともに気象状況に応じて商品需要を予測する「ウレビヨリ」というツールを開発しました。このウレビヨリの予測をもとに、なるべく暑く天気の良い日、アイスクリームの売れる可能性が高い日に、森永製菓のアイスクリームCMを放映。逆に天候が悪い日は別のCM素材と入れ替えました。その結果、商品の売上は前年比増となりました。

もちろん、入れ替えるCMはまったく競合しない素材です。上記の例であれば、天候要因と関係ない商品CMと入れ替えることで、両方の広告効果を上げていきます。これらをAIや量子コンピューターが行います。

直前でCMを入れ替えるのは、今までほとんど行われてきませんでした。広告には細かなルールがあり、直前で煩雑な入れ替えをすると、そのルールに抵触してしまう可能性があるからです。しかし、ここで触れた入れ替え作業は、ルールを読み込んだAIが行うことで今までできなかったことを可能にしています。これらのツールを用いて、放送局と綿密な連携をはかることで、実際の入れ替え作業を実現していきます。

さらに、テレビ広告の契約方式もアップデートしていきます。今までは広告枠もしくは総量に対して契約し、金額が決まっていましたが、直近では、広告に接触した広告主の指定するターゲット層の人数に応じて課金する方式もスタートしており、すでに20キャンペーン以上で活用されております。こういった「(3)取引形態の進化」を進めていく予定です。

最後になりましたが、これらを進めるために「(1)業務のデジタル化」が必要になります。広告枠の決定や入れ替えを紙ベースの作業や手入力で行うと、PDCAの高速化は難しくなります。人の負荷を上げず、効果的な広告を運用するには、デジタル化がポイントなのです。社内の話になるので細かくは割愛いたしますが、既存業務のオンライン化・自動化(RPA)というのも進めております。

広告のデータを分析してより効果的なマーケティングをすることは、そのメディア自体のユーザーを分析することでもあります。それはきっとメディアの活性化につながると思っています。

特にマスメディアは、広告のPDCAを回す面でインターネットに後れを取ってきました。ただ、インターネットとマスメディアには違った魅力があります。インターネットがユーザーみずから好きなコンテンツを探しに行くものなら、マスメディアは特定の何かを好きなユーザーが集まる場所。つまり、マスメディアには「人を集める力」があります。では、どの時間帯にどんなものを好きな人がこのメディアに集まるのか。その分析は、広告のAXと同じです。

AXの「高度化」は、広告効果を上げるだけでなく、メディアの活性化をサポートし、企業が引き続きマーケティングを提供できる機会を創出していくものでもあります。私たちは、広告とメディアの相乗効果を目指して、この取り組みを進めたいと考えています。

執筆

布瀬川 平

ラジオテレビビジネスプロデュース局
エグゼクティブ・メディア&デジタル・ディレクター

16年間の国内関係会社への出向での経験を経て、5年前にラジオテレビ局に帰任。TVerの広告ビジネスの立上げやSTADIAの立上げ、radikoを活用したラジオの可視化などラジオ・テレビのデジタル化・データ化の促進の事業に従事。ラジオ・テレビに加えてメディア・コンテンツ領域全般のトランスフォーメーションを現在は担当する。

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