インターネット

インターネット広告費は7,747億円、前年比109.6%と推定される。
インターネット広告媒体費は、6,077億円(うちモバイル広告費1,201億円、検索連動広告費(PC領域のみ)2,035億円)、前年比111.5%。2009年に世界的な景気後退の影響を受けて成長が減速したものの、2010年には回復基調となり、市場全体としても順調な拡大を遂げた。また全般的な特徴として、ウェブ(PC)広告よりもモバイル広告の伸長率が高く、またバナーなどのディスプレイ広告に比べて検索連動広告の伸長率が高いのはこれまでと同様の傾向である。
PCインターネットにおける広告であるウェブ(PC)広告は、2009年に出稿が停滞していた「人材」「不動産」「金融」などの有力広告主が再び盛り返してきたため、市場全体としても復調を遂げ、4,876億円(前年比110.4%、検索連動広告を含む)となった。広告主のインターネット広告に対する評価や期待はさらに高まっており、ブロードリーチを獲得できるポータルサイトへの評価は従来から引き続いて堅調なほか、表現の豊かなリッチ広告を活用した手法、マス媒体広告と連動した手法なども一般的なものとして定着した。一方で、行動ターゲティング広告やアフィリエイト広告も引き続き成長するなど、広告手法が多様化している。2010年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やミニブログ、動画共有サイトなどのソーシャルメディアに対する社会的な関心が高まったが、これらは広告媒体としても存在感を高めて活況を呈した。また、ウェブ(PC)広告のうちの検索連動広告は、「金融」「不動産」「旅行」「流通」などが好調で市場は引き続き拡大、さらに年末にはクーポン共同購入サイトといった新しいサービスの登場も広告出稿の拡大に寄与し、2,035億円(前年比119.0%)と引き続き成長した。
モバイルインターネットにおける広告であるモバイル広告は、大手CP(コンテンツ・プロバイダー)系広告主に加えて、SNS系の広告主が急成長し、市場も1,201億円(前年比116.5%、モバイル検索連動広告を含む)と成長を遂げた。2010年はスマートフォンの本格的な普及が始まり、それに対応した新しい広告手法も登場し、今後の飛躍が期待される。また、モバイル広告のうちモバイル検索連動広告は、モバイルにおける検索行動の浸透・定着により市場も引き続き成長した(285億円、前年比127.2%)。

インターネット広告制作費は、1,670億円、前年比103.0%。リーマン・ショックなど景気後退の影響により2009年のインターネット広告制作費は前年比100.7%と伸び率が鈍化したが、2010年は景気回復の影響もあってインターネット広告制作費も復調傾向である。企業のキャンペーンやプロモーションにおいて、インターネット(PC、モバイル)が連動する企画展開はさらに増加傾向となってきている。各企業ともインターネット広告予算を増やす一方、制作作業は内容が細分化され単価は低下傾向にある。
「携帯キャリア」「食品」「飲料」などのキャンペーンはますます増加傾向。エコカー減税制度、エコポイント制度などに伴い、「自動車」や「家電」業種を中心にエコ関連キャンペーンやコンテンツの制作が増えたほか、他業種各社でもエコのほかCSRなどの企業活動や企業ブランドを伝えるコンテンツ類の制作意向が高まってきている。「不動産」や「金融」などは前年低調だったが底を打った感があり、一部に回復傾向がみられる。また、TwitterやFacebookなどSNS領域やスマートフォンアプリなどに対する企業各社の注目も高く、積極的に活用する事例が増加した。