プロモーションメディア

プロモーションメディア広告費:2兆1,184億円(前年比98.9%)

屋外広告 3,194億円(同100.2%)

  • 広告板などは、景気の堅調な推移に刺激されたものの、全体としては横ばい傾向。業種傾向は数年来固定化されており、情報通信、飲料、輸入車、音楽、番組宣伝、映画宣伝が多く見られた。また、通信機器も目立った。
  • ネオン・LED:ネオンからLEDへの切り替えが多く、LEDは前年に引き続き増加。看板管理・保守の作業が増加した。
  • 屋外ビジョン:レギュラー広告主である音楽やアパレルブランドは堅調に推移。スマホアプリやエンターテインメント系スポンサーも同様であった。
  • スタジアム看板:年間契約広告主の継続が多く、前年に引き続き横ばいだった。
  • 商業施設メディア:各商業施設では、年間を通して催される各種イベントや催事で協賛やコラボレーションが増え、活況であった。

交通広告 2,003億円(同98.0%)

  • 車内・駅構内のデジタルサイネージは、関西・中部地区での新規設置もあり、前年に引き続き堅調に伸長。車内ビジョンも搭載車両数が増加し、活発化。一方、中づり、まど上、ドア横、駅ばりなどの紙媒体は減少した。
  • 空港関連は、ここ数年インバウンド客の増加に伴い堅調に推移していたが、掲出枠が限られていることもあり、微増にとどまった。
  • 業種別では、飲料・酒類は前年好調の反動で減少。一方、家電、人材系は増加した。

折込広告 4,450億円(同94.9%)

  • 前年に引き続き、新聞の部数減に加え、折込枚数と用紙サイズの縮小に伴って減少。
  • 4月のみ前年比プラスであったが、年間を通じてマイナス基調。前年割れの幅が最も大きかったのは5月で、これは4月に発生した熊本地震の影響による中止や延期、伊勢志摩サミットによる遊技場への規制などの影響だと推察される。その後6月に若干の回復傾向が見られたものの、全体の漸減傾向に歯止めをかけるほどではなかった。
  • 地域別では、四国と沖縄を除き全国で前年割れ。
  • 業種別では、小型スーパーやドラッグストアなど日常利用の多い業種や通販は前年に引き続き堅調に推移。一方、総合スーパー、大型量販店、不動産関連、教育関連、遊技場、衣料品販売などは減少した。

DM 3,804億円(同99.3%)

  • EC通販市場の拡大を背景に、顧客データ基盤を活用して購買行動に効果的な影響を与えるメディア(コンバージョンメディア)としての認識が高まっており、前年に引き続き媒体価値が見直される1年となった。
  • 業種別では、「情報・通信(IT関連、移動体端末サービス)」、健康食品などの通販(サンプリングDMが人気)、「金融・保険」などが増加。
  • 無宛名便市場(宛名なしDM)は、前年に引き続き拡大。ポイントを絞るエリアマーケティング展開が活発化し、首都圏から全国各地へと活用の場が広がった。
  • くじやクーポンなどが付いたハガキ型DMが店舗誘引策として伸長。
  • 他社の持つ会員情報などを活用し、新規開拓を行うケースも見られた。
  • 顧客データの拡充に伴い、CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)施策のひとつとしてDMが積極的に活用されている。

フリーペーパー・フリーマガジン 2,267億円(同98.4%)

  • 全体としては減少傾向で、設置型も配送型も厳しい1年となった。ただし、一部エリアでは増加が見られるなど、地域によって差が生じた。

フリーペーパーは721億円(同98.8%)

  • 通信会社の新料金プランやサービス訴求、4月の電力自由化に伴う電力会社やガス会社の各種サービス告知、7月の参院選(一般紙ではリーチしにくい女性ターゲット向け)、3月、12月の好調な企業決算に伴う広告需要の増加があったものの、通年では減少傾向が継続し、前年割れとなった。
  • 地方自治体による地方創生施策が増加したものの、全体として首都圏以外はやや低調。
  • グルメ・飲食業の広告は、地域によっては好調だった。

フリーマガジンは1,546億円(同98.3%)

  • 都市部では減少傾向が続くものの、全国的にみると発行部数が増加した地域もあった。特定層(富裕層など)や地域限定(一部エリア限定として、その土地ならではの情報誌など)、特定の趣味嗜好の方へ向けた読み物などは、前年に引き続き好調。ただし、クーポン系などはウェブへの移行が進み部数が減少した。
  • 年間を通して休廃刊も多い中、出版社などが男性富裕層向けフリーマガジンを創刊し、独自のルートで配布する動きが見られた。
  • 業種別では、学習塾や通販などの広告が目立った。
  • 地方限定フリーマガジンなど、その地方に密着した企業の広告が際立っている。地方創生の一環としてさらに進化するとともに、広く全国的な連携も必要である。

POP 1,951億円(同99.0%)

  • GMS(総合スーパー)、家電量販店を中心とした小売業の減益が影響し、POPの売上も減少。販売促進費が集客型メディアに移行したことも要因のひとつである。
  • 一方、商品を魅力的に見せるためのデジタルサイネージを中心に、説明型POPが増加。また、EC市場との差別化を狙った「体験できる売場」のPOPも増加した。
  • 本部一括方式からエリア別、店舗別販促への意向が高まった。今後も進むであろう。
  • 健康食品、メイクアップ商品を中心に、通販でヒットした商品がドラッグストアでも見られるようになり、スタンド什器などの「定番外POP」が増加した。小型スーパーやGMSでは、既存催事を華やかに演出するPOPが増加。コンビニエンスストアの「キャラクタータイアップPOP」も根付いた。
  • 前年に引き続き、デジタル機器を使用した制作費の高いPOPと、紙などの素材を工夫して使用することで安価に制作したPOPの二極化傾向が見られた。

電話帳広告 320億円(同95.8%)

  • 地域の特色を生かした表紙デザインや本文の編集、全住戸・全事業所への配達、防災情報を掲載した別冊版の発行エリアが拡大したことなどにより、媒体価値の向上が図られ、前年超えする発行地域が増加。全体の減少幅は改善した。
  • 現在地から検索できるウェブ版の進化や掲載情報の付加価値化などにより、総合力が向上。

展示・映像ほか 3,195億円(同104.3%)

  • 観光立国に向けた取り組み、地方創生、訪日観光客の増加、インフラ整備に伴った各種施設の改装案件などで好調に推移。また、「北海道新幹線」開業、「2020東京オリンピック・パラリンピック」のエンブレム決定、「伊勢志摩サミット」などの開催、選挙権年齢が18歳以上となる初の国政選挙(参院選)、「リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック」などにより増加した。
  • 駅直結のバスターミナルオープン、空港施設などのインフラ、輸入ブランドショップの環境演出や主要都市の駅ターミナル周辺の再開発に伴う大型複合商業施設の改装、ホテルやアミューズメント施設の改装、歴史系博物館、企業のプライベートショーやショールームへの販促投資需要など、ディスプレイ関連は好調に推移。映像関連では、地方のブランド戦略の観点から動画や映像を生かして地域の魅力を伝える観光プロモーションが増加した。
  • 地域別では、名古屋エリアは自動車だけでなくIT関連も順調。また、リニア中央新幹線開業に向け、JR名古屋駅前周辺の再開発事業による新たな商業施設の整備や空間演出などが好調。広島ではオバマ大統領の訪問や広島カープの25年ぶりリーグ優勝によるパレードの実施、福岡ではインバウンド需要が高く、アジアを中心に観光やMICE(Meeting、 Incentive tour、Convention/Conference、Exhibition)産業が盛り上がっている。地震の影響があった熊本でも、店舗ディスプレイが伸長した。
  • 業種別では、「官公庁・団体」において公共事業が増加傾向。地方のお城など、地域資産と連動したキャラクターイベント、マラソン大会やアートイベントなど、継続的な実施で横ばいを維持。
  • <シネアド>年間を通して映画の期待作品(『スターウォーズ/フォースの覚醒』『妖怪ウォッチ』(2015年末公開)、『君の名は。』の歴史的ヒット、『シン・ゴジラ』『名探偵コナン』など)が多く、観客動員数も42年ぶりに1億8,000万人を突破、年間興行収入では国内映画史上最高額を達成したことから、シネアドも伸長した。また、広告主のニーズに、コンテンツとの連動を求める声が増えた事も、シネアドを中心としたシネマプロモーションの増加要因として挙げられる。業種別では、飲料や自動車をはじめ、通信機器、通信事業も増加。シネコンでのファミリー向け広告が増加した。4DX、IMAXなど2次元以上の効果を持つスクリーンが増えていることから、今後はこれらを活用した広告需要が期待される。

<参考推定値>

2016年 商業印刷市場 2兆90億円(前年比98.0%)
そのうち、ポスター・チラシ・パンフレットは1兆2,430億円(同98.0%)

媒体別構成比

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