総広告費

<2010年の総広告費は5兆8,427億円、前年比98.7%>

2010年(平成22年1-12月)の日本の総広告費は5兆8,427億円、前年比98.7%と3年連続で減少した。
総広告費は、2004年に日本経済の景気回復基調とデジタル家電やインターネットの普及を背景に増加傾向となり、2005年(前年比102.9%)、2006年(前年比101.7%)、2007年(前年比101.1%)と増加を続けてきたが、2008年にアメリカの金融危機に端を発した世界同時不況を背景に減少に転じ、2008年(前年比95.3%)、2009年(前年比88.5%)に続き、2010年も前年実績を下回った。

2010年の広告費は、次のような特徴があげられる。

  1. 2010年の総広告費は、緩やかな景気の回復と企業業績の改善、バンクーバー冬季五輪、サッカーワールドカップ南アフリカ大会、上海万博等の国際的な大型イベントの開催や、エコカー補助金やエコポイントなどの景気刺激策のプラス要因があったものの本格的な回復には至らず、5兆8,427億円、前年比98.7%と3年連続で減少した。ただし、テレビ広告費を中心に年後半にかけて増加傾向にあり、前年(11.5%減)よりマイナス幅は大幅に縮小した。
  2. 媒体別にみると、「テレビ広告費」(前年比101.1%)が増加したが、「新聞広告費」(同94.9%)、「雑誌広告費」(同90.1%)、「ラジオ広告費」(同94.8%)が減少し、「マスコミ四媒体広告費」(同98.1%)は6年連続して前年を下回った。マスコミ広告以外では、「プロモーションメディア広告費」(同95.6%)が3年連続で減少となった。BSデジタル放送などの増加で「衛星メディア関連広告費」(同110.6%)がデジタルテレビの好調な普及に伴い、2ケタの伸長となった。「インターネット広告費」(同109.6%)はインターネット連動型のキャンペーンが増え、大幅な増加となった。
  3. 業種別(マスコミ四媒体)では、「情報・通信」(インターネットサイト関連が大幅に増加)、「ファッション・アクセサリー」(婦人服、ジーンズ、紳士服などが増加)、「化粧品・トイレタリー」(ヘアケア、メイクアップ化粧品などが増加)、「家庭用品」(家具、脱臭剤などの広告が増加)など、21業種中8業種が前年を上回った。減少は「官公庁・団体」(衆院選関連出稿の反動)、「趣味・スポーツ用品」(ゲームソフトなどが減少)など13業種であった。

なお、2010年の名目国内総生産(GDP)の伸び率はプラス1.8%で3年ぶりのプラス成長となった。2010年の国内総生産に対する総広告費の比率は1.22%で前年(1.26%)より低下した。

日本の広告費と国内総生産

  日本の広告費 国内総生産(GDP) 国内総生産に対する
日本の広告費の比率(%)
(億円) 前年比(%) (億円) 前年比(%)


1997年(平成9年) 59,961 103.9 5,156,441 102.1 1.16
98年(10年) 57,711 96.2 5,049,054 97.9 1.14
99年(11年) 56,996 98.8 4,976,286 98.6 1.15
2000年(12年) 61,102 107.2 5,029,899 101.1 1.21
01年(13年) 60,580 99.1 4,977,197 99.0 1.22
02年(14年) 57,032 94.1 4,913,122 98.7 1.16
03年(15年) 56,841 99.7 4,902,940 99.8 1.16
04年(16年) 58,571 103.0 4,983,284 101.6 1.18
05年(17年) 59,625 101.8 5,017,344 100.7 1.19
06年(18年) 59,954 100.6 5,073,648 101.1 1.18

05年(17年) 68,235 102.9 5,017,344 100.7 1.36
06年(18年) 69,399 101.7 5,073,648 101.1 1.37
07年(19年) 70,191 101.1 5,155,204 101.6 1.36
08年(20年) 66,926 95.3 5,043,776 97.8 1.33
09年(21年) 59,222 88.5 4,709,367 93.4 1.26
10年(22年) 58,427 98.7 4,792,231 101.8 1.22

(注)2007年に「日本の広告費」の推定範囲を2005年に遡及して改定した。

日本の総広告費と国内総生産(GDP)の推移

日本の総広告費と国内総生産(GDP)の推移のイメージ