新聞/雑誌/ラジオ/テレビ/マスコミ四媒体広告費

新聞広告費:5,147億円(前年比94.8%)

  • 2017年10月の衆議院選挙による出稿増や、企業収益の好調で年末にかけて出稿増となったことなどにより、前年を上回る期間もあったが、通年では減少傾向が続いた。前年の「リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック」の反動減、夏場の天候不順なども減少の要因となった。
  • 業種別では、「エネルギー・素材・機械」「官公庁・団体」などが増加。一方、「自動車・関連品」「精密機器・事務用品」「金融・保険」などが減少した。
  • 紙としての新聞に限定しない、新聞社が持つさまざまな機能や資産の活用、地方創生に関連した地方紙企画などの取り組みが行われている。
  • インターネット広告市場の拡大と連動して、新聞社が取り扱うデジタル広告も着実に成長。新聞各社のデジタル施策への取り組みが急速に進む中、PMPなどの運用領域や、コンテンツマーケティングの新聞社扱い案件も伸長した。また、デジタルと連動した紙面企画をはじめ、他媒体との協働も加速している。

雑誌広告費:2,023億円(前年比91.0%)

  • 紙の出版物推定販売金額は、前年比93.1%と13年連続でマイナスとなった。内訳は、書籍が同97.0%、雑誌が同89.2%で、雑誌販売額は初の二桁減を記録。一方、電子出版市場は同116.0%と前年に引き続き拡大したが、紙市場の落ち込みをカバーしきれず、紙と電子出版市場を合わせた全体は同95.8%にとどまった。 ※数字出典:出版月報2018年1月号
  • 上記要因および発行部数の逓減などにより、年間を通じて雑誌広告費は前年を下回る厳しい状況となった。一方、コンテンツの質の高さなどが評価されている出版社系のデジタルメディアの成長に伴い、出版社由来のデジタル広告売上は2年連続での二桁成長。良質なインフルエンサーを育成・活用したSNSでの拡散企画の定着やブランドリフトに寄与する出版社制作の動画プロモーションなどにより、今後も成長していくことが期待される。
  • ジャンル別では、「ミセス誌」のみ前年超え。シェアの高いキャリアファッション誌やヤング女性誌などは前年割れとなった。
  • 業種別では、「官公庁・団体」のみ伸長。一方、雑誌広告費の構成比トップの業種である「ファッション・アクセサリー」は、ラグジュアリーブランドのデジタルシフトなどにより減少した。
  • 前年に続き、出版社によるデジタルメディアのローンチが活発化した。また、電子雑誌での広告事業が開始されるなど、出版コンテンツとデジタルメディアの協業が急速に深化している。

ラジオ広告費:1,290億円(前年比100.4%)

  • 2年連続で増加となった。東京を除く他地区では概ねプラス成長。
  • 業種別では、広告費構成比が最も高い「外食・各種サービス」は同90.3%と、12年ぶりに減少した。一方、「情報・通信」(同137.9%)「食品」(同112.4%)「自動車・関連品」(同100.8%)といった構成比の高い業種が伸長し、全体を押し上げた。
  • 「radiko.jp(ラジコ)」は、認知の向上とともにプレミアム会員数が堅調に増加している。また、2017年にラジコ搭載のスマートスピーカーが発売されたことに伴い、利用者が増加しており、今後も接触者数の増加が期待される。
  • 全国各地ではコミュニティ放送も定着してきており、堅実な広告収入の増加でラジオ広告費全体の押し上げに寄与している。
  • オーディオメディアとしての基盤ができつつあり、デバイスを超えた接触機会が増えることに加え、ラジオはライブイベントとの親和性が高いこともあり、統合的な販促キャンペーンに組み入れられる機会が増加している。

テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆9,478億円(前年比99.1%)

地上波テレビ 1兆8,178億円(同98.9%)

  • 地上波テレビは、企業業績の好調や個人消費の回復などによる効果が期待されたものの、広告出稿の勢いが活性化するまでには至らなかった。
  • 番組(タイム)広告(同99.1%)は、「2017ワールド・ベースボール・クラシック」「サッカー FIFAワールドカップ アジア最終予選」「2017年世界水泳選手権(ブダペスト)」「2017年世界陸上競技選手権大会(ロンドン)」「EAFF 東アジアE-1サッカー選手権(日本開催)」などのスポーツ番組があったものの、通年では前年の「リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック」などの反動減が大きく影響し、減少した。地域別では、通年で基幹8地区中、仙台(2年連続)、福岡(2年連続)、名古屋、大阪では前年超え。
  • スポット広告(同98.8%)においても、年間を通して前年の勢いはなく、一部の業種では増加したものの、全体としては低調に推移した。地域別では、通年で全32地区中27地区が前年実績を下回った。名古屋と福岡、長崎、熊本、大分の九州4地区では前年超え。
  • 業種別では、「不動産・住宅設備」「エネルギー・素材・機械」「自動車・関連品」「家庭用品」「情報・通信」「飲料・嗜好品」などが増加。一方、テレビ広告費の構成比が高い「化粧品・トイレタリー」は減少した。この他、「金融・保険」「流通・小売業」なども減少。
  • なお、本広告費には含まれないが、キャッチアップ広告をはじめ動画配信型広告が増加するなど、テレビ×デジタルの取り組みが加速している。

衛星メディア関連 1,300億円(同101.3%)

  • BS 925.3億円(同102.9%)、CS 200.8億円(同98.0%)、CATV 174.0億円(同97.3%)と、BSが全体を押し上げる結果となった。
  • BSは、通販を中心に増加したが、前年にあったようなブランド広告は減少。
  • CSは、IT系企業による音楽系、スポーツ系、映画・ドキュメンタリー系の広告は増加したが、通販全般は大きく減少し、全体ではマイナスとなった。
  • CATVは、年前半に不動産広告の伸長があったものの、年後半は全体的にマイナスとなった。
  • 業種別では、健康食品や化粧品は増加したものの、自動車や金融関連は低調であった。
  • 特にペイテレビ業界は、デジタルシフトの影響を受け、減少傾向となった。

(億円、前年比%)

  2016年 2017年 前年比
衛星メディア関連 1,283 1,300 101.3
BS 899.3 925.3 102.9
CS 205.0 200.8 98.0
CATV 178.8 174.0 97.3

注)合計値は小数点以下を四捨五入

マスコミ四媒体広告制作費:2,979億円(前年比97.3%)

※衛星メディア関連は除く

(注)広告制作費は、新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの広告費に含まれている。

  • このうち地上波テレビCM 制作費は、2,173億円。(同99.3%)
  • 業種別では、「エネルギー・素材・機械」「不動産・住宅設備」「自動車・関連品」「情報・通信」などが増加。一方、「流通・小売業」「外食・各種サービス」「化粧品・トイレタリー」などは減少した。

2017年 マスコミ四媒体広告費(衛星メディア関連も含む)の四半期別伸び率

「マスコミ四媒体広告費」(衛星メディア関連も含む)を四半期別にみると、10-12月期は前年同期比99.1%と前年並みに戻ったものの、7四半期連続でマイナスとなった。

(前年比、前年同期比、%)

マスコミ四媒体広告費
(衛星メディア関連も含む)
2016年
1-12月
1-6月 7-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
99.6 100.2 99.1 100.9 99.4 98.9 99.3
2017年
1-12月
1-6月 7-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
97.7 97.6 97.8 98.2 96.9 96.5 99.1