インターネット

インターネット広告費:3兆3,330億円(前年比107.8%)

インターネット広告媒体費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を含む)、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合計。

インターネット広告媒体費 2兆6,870億円(前年比108.3%)

  • 円安や原材料高騰・物価高などの影響を受け、企業のインターネット広告に対するマーケティング投資は大きく減少したが、下半期の「飲料・嗜好品」をはじめとする一部業種の回復基調も受け、前年比108.3%となった。
  • その中でも、動画サービスは前年に続き利用者・利用時間ともに増加傾向となり、動画広告の数字は大きく伸長した。
  • また、デジタル販促も前年に続き好調で、広告主の顧客獲得や販売促進においてのデジタル活用がますます進んでいる。

※インターネット広告媒体費の詳細については、「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(㈱CARTA COMMUNICATIONS、㈱電通、㈱電通デジタル、㈱セプテーニの4社で、2024年3月12日に共同発表)を参照。インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2024年予測も行っている。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,294億円(インターネット広告媒体費の一部、前年比106.9%)

  • 新聞デジタル 208億円(前年比94.1%)
    デジタル広告市況全体の鈍化やクッキーレスの影響により広告単価が伸び悩み、また、動画広告への予算シフトの動きもあり、これまで続いた成長トレンドから一転、マイナス成長となった。予約型はディスプレイ広告が増加したものの、前年増加をけん引したタイアップ広告や動画広告が減少。2023ワールド・ベースボール・クラシックなどの大型スポーツイベントにおいても、PV(ページビュー)数は増加しても単価低下の影響が大きい状況が続くなど、運用型広告の減少が大きかった。そうした中でも、コロナ5類移行により「交通・レジャー」や「ファッション・アクセサリー」などが回復。また、リアルイベントやセミナーの増加に伴い、関連の広告需要がみられた。
    2024年はパリ2024夏季オリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、運用型広告ではPV数増に伴う広告費の増加が期待される。市場全体ではサードパーティークッキーの規制による単価のさらなる低下も予想されるため、ファーストパーティーデータや読者IDの活用、サブスクリプションモデルの模索など、収益確保に向けた対応が必要となる。
  • 雑誌デジタル 611億円(前年比100.2%)
    主要ウェブメディアのPV/UU(ユニークユーザー)数、主要SNSのフォロワー数などは堅調に推移した。各社が保有するDMP(データマネジメントプラットフォーム)の活用が進み、デジタルOOHへの拡張配信も開始した。また、紙媒体やウェブメディアに起因しない、SNS内で完結できる新たなタイアップ広告手法の開発も進んだ。その他、広告主のオウンドコンテンツ制作、動画制作・配信など、出版社のデータ・コンテンツ制作力・コミュニティ力を強みとした企画が行われ、引き続き出版社の広告収益を支えた。今後も引き続き、ファン・コミュニティの事業化や、コンテンツ資産を活用した装置や企画の洗練化を進めると同時に、出版ソリューションの価値指標の策定とプランニングへの応用や、コミック系ウェブメディア事業の拡大(コミックIPの海外輸出と広告配信による新収益の創出)などを、中期的な戦略として進めるものと考えられる。
  • ラジオデジタル 28億円(前年比127.3%)
    Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタル広告への新規出稿と継続出稿がみられた。地上波ラジオ放送とSNSやPodcastなどのデジタルとの展開を融合させた施策の実施もみられる。また、プレミアムオーディオ広告も堅調に推移した。
  • テレビメディアデジタル 447億円(前年比124.9%)
    テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は443億円(前年比126.6%)と、前年に続いて急成長した。見逃し無料配信動画サービスでは、根強い人気があるドラマの視聴に加え、バラエティーやスポーツのライブ視聴などが増加し、再生数・ユーザー数ともに順調に伸長しており、コネクテッドTVなどテレビ受像機での視聴も拡大し注目度が高まっている。インターネットテレビサービスでも従来の恋愛リアリティーショーやドラマ、バラエティーに加え、スポーツ関連番組の幅が拡がるなど視聴者の選択肢も豊富になってきており、ユーザー数も着実に伸びている。

物販系ECプラットフォーム広告費 2,101億円(前年比110.1%)

  • ECでの購買が定着したことにより、物販系ECプラットフォーム広告費も二桁成長を継続した。
  • コロナ禍におけるEC需要の活性化から徐々に落ち着き、主に巣ごもり特需として伸長したカテゴリー(家電やインテリアなど)は苦戦する結果となった。
  • 2023年から実店舗での買い物が増加してきたことを受けて、ECプラットフォームとしても良質な体験提供に向けた施策(購買までの導線整備、ライブコマースやポップアップストアの実施など)が数多く進んだ。
  • 2024年は4月に施行される「働き方改革関連法」を受けて、配送料無料の条件見直し、梱包・包装の見直し、小型拠点による配送網の拡充が見込まれる。

インターネット広告制作費 4,359億円(前年比103.7%)

  • コロナ5類移行に伴う消費活動全体の活性化を受けて、インターネット広告制作の需要は前年から引き続き拡大。一方、海外経済減速や物価高、記録的な円安など企業を取り巻く環境の不確実性の高まりを受けて、企業のインターネット広告制作予算の伸び率は、前年と比較すると鈍化した。
  • 制作物の種類別に動向をみると、ウェブ動画広告制作が引き続き伸長しており、その中でも動画サイトなどのコンテンツ内に表示される動画広告制作などが増加した。また、動画広告の内容でみると、ブランデッドムービーなどのリッチコンテンツ制作の増加傾向は維持している。
  • 音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツ、制作物。ここでは、高品質な動画を指す。