背景

(1)日本経済は、アメリカの相互関税政策が影響したものの、年間ではプラス成長

2025年の日本経済について、国内総生産(GDP)の実質成長率を四半期別にみると、1-3月期は前期比(以下、略)100.3%、4-6月期は100.5%と2期連続のプラス。7-9月期はアメリカの相互関税政策による輸出を中心としたマイナス効果や、制度変更に伴う住宅投資の急減が要因となり、99.3%と6四半期ぶりのマイナスとなったものの、10-12月期は100.1%と再びプラス成長に転じた。
暦年ベースの実質GDP成長率は101.1%、名目GDP成長率は104.5%となった。
(2026年2月16日四半期別GDP1次速報より)

企業業績、増収増益

上場企業の2025年度通期(2025年4月-2026年3月期)は、全産業売上高が前年度比 102.1%、最終利益が101.3%の見通し。

雇用情勢は前年並

完全失業者数は、7月には164万人まで減少したものの、9月から徐々に増加し12月には186万人となった。平均失業者数は176万人と前年並み。完全失業率は年間を通して2.5%前後と比較的低い水準が継続した。一方、2025年平均の有効求人倍率は、1.22倍となり、前年の1.25倍から0.03ポイント下回った。

一時円高進むも円安傾向、株価は新首相への期待から史上最高値更新、原油価格は下落

為替は、アメリカの相互関税政策による物価上昇への警戒感から、年初に一時1ドル158円台まで下落したものの、アメリカの景気減速の兆候などにより4月には一時1ドル139円台まで上昇。その後、再度円安が進み、12月に利上げを行ったものの劇的な効果はみられず、最終日(12月30日)は前年より約2円高の155円 98銭で取引終了した。

株価は、アメリカの相互関税政策による景気や企業業績への不安が高まり4月に一時3万1,000円台まで下落したものの、その後は関税の税率が決定したことやAI・半導体関連銘柄の上昇、さらに日本初の女性首相による経済政策への期待が高まるなどの要因も相まって10月には史上初の5万円を突破。最終日(12月30日)の終値は5万339円と、2年連続で年末最高値を更新した。

原油価格は、年始の80ドル台を最高値として以降は下落。中東情勢の緊迫化やロシアの原油供給減少懸念などにより6-7月にかけて一時価格が高騰したものの、12月は61ドル台で推移した。国内レギュラーガソリンの店頭価格は、5月ごろまで184円前後で推移。その後、燃料油価格激変緩和措置の実施や暫定税率の廃止に向けた補助金の段階的拡充が開始されたことにより、12月中旬には150円台まで緩和した。

(2)国内消費~映画や旅行などレジャー需要が活性化

●百貨店は、2025年11月~12月にかけて生じた訪日中国人観光客の急減や物価高の影響もあり、2025年百貨店売上高(既存店ベース)は前年比(以下、略)98.3%、2019年比も98.6%と減少した。●コンビニエンスストアは、訪日客による消費が増加したことや高付加価値商品の展開によって平均客単価が伸長し、全店で102.2%、既存店で101.9%となり、2019年比でも全店、既存店ともに前年を上回った。●スーパーマーケット(既存店ベース)は、消費者の節約志向が高まり、98.7%となった。●白物家電(民生用電気機器)の年間国内出荷金額は102.4%。新商品の発売や単身者向けが好調に推移したことにより食器洗い乾燥機が伸長した。前年に続きエアコンも好調に推移した。●黒物家電<AV機器(民生用電子機器)>の年間国内出荷金額は、映像機器93.2%、オーディオ関連機器94.8%と減少したものの、国内の新車販売台数が徐々に回復してきたことも相まって、カーAVC機器は101.2%と前年を上回った。●国内新車販売は、103.3%の456万5,777台となった。認証不正問題や一部メーカーの生産停止などで落ち込んだ前年からの回復で販売台数が増加となった。ドライブレコーダーの年間国内出荷台数は、業務用で92.5%と減少したものの、家庭用は153.0%と大幅に増加し、全体では146.5%となった。●デジタルカメラの年間国内出荷金額は、レンズ交換式は減少したもののレンズ一体型は前年を上回り、合計では102.1%となった。●住宅着工戸数は、93.5%と3年連続の減少。持家92.3%、貸家95.0%、分譲92.4%と、いずれも減少となった。●旅行業界は、国内旅行消費額が10-12月期は減少したものの、1-3月期から7-9月期まで3期連続で前年同期を上回った。訪日外客数は約1.2倍の4,268万人となり、2年連続で過去最多を更新した。出国日本人数は約1.1倍の1,473万人となり前年を上回ったものの、2019年の水準には至らなかった。●映画業界は、世界的に大ヒットした人気少年漫画の第2弾が300億円、人気推理漫画の第28弾が100億円突破と国内アニメ作品の強さが継続。併せて、実写作品でも歌舞伎をテーマにした邦画が興行収入100億円を突破し、邦画実写作品の興行収入記録を22年ぶりに更新する快挙を成し遂げた。●テーマパークは、引き続き好調を維持。新エリアがオープンしたテーマパークが複数みられ、7月に開業した沖縄北部の自然を舞台にした体験型テーマパークは開業当時メディア露出が相次ぐなど注目を集めた。●外食業界は、値上げによる客単価の上昇やインバウンド需要の増加などから、年間売上高107.3%、店舗数100.7%、利用客数102.9%、客単価104.3%と、全てで前年を上回った。

(3)話題のイベントや商品など

2025年は、賃金上昇や内需の底堅さがあったものの、アメリカの相互関税政策という外的要因によって輸出と製造業が下押しされ、景気減速リスクと不確実性が通年で高まり続けた一年となった。近年問題となっている気候変動は、猛暑・激甚災害のみならず、過去最悪のクマ被害の一因となるなど新たなリスクをもたらした。一方、前年に続きインバウンド需要の拡大や体験価値の高いイベントの盛り上がり、納得感のある商品を求めるロジカル消費が興隆するなど、物価高が継続し節約志向が続く中でもメリハリのある消費がこれまで以上に活性化した。
2025年で最大のトピックである大阪・関西万博は、国宝級の品々を展示したイタリア・バチカン館を始めとする海外パビリオンが、海外旅行の疑似体験として機能したことや公式マスコットキャラクターの人気も来場者数増加を後押しし、一般来場者数2,558万人と2005年の愛・地球博を上回る盛況をみせた。飲食関連では健康志向が継続。外食では辛さや具材を細かくカスタマイズできるエンタメ性で人気を集めた麻辣湯、内食では調理が手軽・手入れが簡単といったタイパの良さが支持されたせいろなどがヒットした。
また、新たな消費トレンドとなったロジカル消費の事例の一つとして、2017年に発売し大ヒットした家庭用ゲーム機の後継機が挙げられる。前世代機からの性能向上や既存ユーザーを優先とした招待販売を行うなど消費者ニーズを的確にすくい取った結果、発売約4ヶ月で国内200万台を突破した。生成AIや量子コンピュータといったディープテックの商品開発への活用やプロダクト・サービスへの実装も進んだ。アメリカ企業が開発したボイスレコーダーは、生成AIにより文字起こしと要約を同時にこなす利便性の高い機能が受け入れられた。量子コンピュータを用いて1,000億通り以上の組み合わせから算出・応用したクレンジング美容液も毛穴ケアに最も効果的な処方を提供し話題となった。
猛暑をはじめとする気候変動などが要因となり、米の価格が前年比約2倍に上昇し家計を圧迫した一方で、新たな消費を生み出すきっかけにもなった。パスタやパックごはんへの主食の置き換えが生じ、さらに節約志向からふりかけの売上も増加。また、政府による備蓄米放出に伴い、おにぎり・弁当などに用いたコンビニエンスストア各社の割安商品や精米機・高級炊飯器の売上増加にもつながった。併せて、新たな気候変動リスクともいえるクマ被害に対しては、各社が発売する対策スプレーが売上を伸ばした。

「2025年 日本の広告費」 報告書ダウンロード

注)本資料の内容、データを利用する場合は下記の出典明記をお願いいたします。
例)出典:電通「2025年 日本の広告費」

「2025年 日本の広告費」 動画(69秒)

「日本の広告費とは」 動画(32秒)