電通推定「日本の広告費」の概要

(1)電通推定「日本の広告費」とは

電通が毎年発表している「日本の広告費」は、日本国内で1年間(1~12月)に使われた広告費を、マスコミ四媒体(衛星メディア関連も含む)、インターネット、プロモーションメディアの広告媒体料と広告制作費などについて媒体社、広告制作会社、広告会社、各種団体などの協力を得ながら推定したもの。広告商品業種別(21分類)は、マスコミ四媒体(衛星メディア関連を除く)で推定。1947年から1986年まで一貫して同じ方法・範囲で推定してきたが、1987年の推定値を発表するとき、1985年にさかのぼってマスコミ四媒体以外の推定範囲を拡大するなど、範囲の改定を行った(第1次)。
また、2007年の推定値を発表するとき、2005年にさかのぼって推定範囲の改定を行った(第2次)。さらに、2014年の発表より、地上波テレビのデジタル化に伴う衛星放送共用テレビなどの一般化をふまえ、テレビ区分をテレビメディアとし、地上波テレビと衛星メディア関連の推定値を合算した。急速に進化する領域への対応を鑑み、2018年の発表で、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を、2019年の発表で、「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」領域を追加推定した。

(2)「日本の広告費」の推定範囲

総広告費 日本国内に投下された年間(1~12月)の広告費
マスコミ四媒体広告費 新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディアのマスコミ四媒体に投下された広告費
  新聞 全国日刊紙、業界紙の広告料および新聞広告制作費
雑誌 全国月刊誌、週刊誌、専門誌の広告料および雑誌広告制作費
ラジオ 全国民間放送の電波料および番組制作費とラジオCM制作費 ※事業費は含まない
テレビメディア 次のテレビメディアの広告費
  地上波テレビ 全国民間放送地上波テレビの電波料および番組制作費とテレビCM制作費 ※事業費は含まない
衛星メディア関連 衛星放送、CATVなどに投下された広告費(媒体費および番組制作費)
インターネット広告費 インターネットサイトやアプリ(物販系ECプラットフォームも含む)上の広告掲載費(媒体費)およびその制作費(バナー広告、動画広告、SNSなどでの記事体広告などの制作費およびオウンドメディア上での商品/サービス・キャンペーンなどプロモーションに関連する制作費)
マス四媒体由来のデジタル広告費 マスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費
※マスコミ四媒体広告費には含まれない
  新聞デジタル 新聞社が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費
※新聞広告費には含まれない
雑誌デジタル 出版社が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費
※雑誌広告費には含まれない
ラジオデジタル ラジオ放送事業社が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費
※ラジオ広告費には含まれない
テレビメディアデジタル テレビ放送事業社など(衛星メディア関連も含む)が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費
※テレビメディア広告費には含まれない
  テレビメディア関連動画広告 テレビメディアデジタルのうち、キャッチアップサービスなどインターネット動画配信における広告費
物販系ECプラットフォーム広告費 物販系ECプラットフォーム上に店舗を持つ事業者によって、当該プラットフォーム上に投下された広告費
(EC領域の販売促進を図るインターネット広告費全体を示す広告費ではない)
プロモーションメディア広告費 次のプロモーションメディアの広告費
  屋外 短期・長期看板、ネオン・LED看板、屋外ビジョンなど屋外広告の製作費と掲出料
交通 電車・バス・タクシー・空港などの交通広告の掲出料
折込 全国の新聞に折り込まれたチラシの折込料
DM(ダイレクト・メール) ダイレクト・メールに費やされた郵便料・配達料
フリーペーパー・電話帳 フリーペーパー・フリーマガジンの広告料、電話帳の掲出料
POP POP(店頭販促物)の制作費
イベント・展示・映像ほか 広告業が取り扱う販促キャンペーン、ポップアップストア、スポーツイベント、PRイベント、展示会、博覧会、PR館などの製作費、シネアド・プロモーションビデオなどの制作費と上映費など

(3)推定範囲の改定のポイント

2007年

  • マスコミ四媒体広告費は、「雑誌」の推定対象誌を増加(専門誌・地方誌などを拡張)した。
  • 「インターネット広告費」は広告制作費を推定した。
  • プロモーションメディア広告費は以前のSP広告費の呼称を変更し、内訳を見直した。
  • 「屋外」は以前の広告板・ネオンに屋外ビジョン・ポスターボードなどを追加した。
  • 「交通」は以前の鉄道・バスに空港・タクシーを追加した。
  • 「折込」は全国の折込料金を見直して推定した。
  • 「DM」は以前の郵便料に民間メール便配達料を追加した。
  • 「フリーペーパー・フリーマガジン」の広告料を推定した。

2018年

  • 「マス四媒体由来のデジタル広告費」を「インターネット広告費」に追加推定した。

2019年

  • 「物販系ECプラットフォーム広告費」を「インターネット広告費」に、「イベント」領域を「展示・映像ほか」に追加推定した。
  • 「フリーペーパー・フリーマガジン」を「電話帳」と統合し、「フリーペーパー・電話帳」とした。

(4)マスコミ四媒体広告費の業種別分類基準(21分類)

1.エネルギー・素材・機械 電力、ガス、ガソリン、紙、鉄鋼、化学材料、農業機器、建設・土木機器、工作機器、店舗用機材など
2.食品 乳製品、肉製品、調味料、パン、菓子、健康・美容食品、サプリメント、加工食品など
3.飲料・嗜好品 アルコール飲料、非アルコール飲料、タバコなど
4.薬品・医療用品 医薬品、医療用品、ドリンク剤、メガネなど
5.化粧品・トイレタリー 皮膚・毛髪用など化粧品全般、化粧用具、シャンプー&リンス、かみそり・替刃、電動歯ブラシ、歯磨、石けん、洗剤、洗濯用剤、生理用品、紙おむつなど
6.ファッション・アクセサリー 衣料品、生地、身回繊維品、靴、バッグ、傘、貴金属・アクセサリーなど
7.精密機器・事務用品 時計、カメラ・デジタルカメラなど光学機器、事務用品、文房具など
8.家電・AV機器 厨房用・家事用・冷暖房用電気機器、音声・映像機器(デジタルビデオカメラ含む)、照明器具、電気理容・美容器具など
9.自動車・関連品 自動車、オートバイ・スクーター、自転車、モーターボート、タイヤ、カーナビゲーションなど
10.家庭用品 石油・ガス機器、寝具、インテリア、家具、仏具、台所用品、殺虫・防虫剤、芳香・消臭剤など
11.趣味・スポーツ用品 趣味用品、ゲーム機・ソフト、音声・映像ソフト、園芸用品、ペットフード、パチンコ・パチスロ機、スポーツ用品など
12.不動産・住宅設備 宅地・住宅など土地・建物、建材、トイレ・浴槽・厨房ユニット・太陽光発電・給湯システムなど住宅付属設備
13.出版 新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物
14.情報・通信 コンピュータ・関連品、コンピュータソフト、携帯電話機、携帯情報端末、電話サービス、通信サービス・インターネット、ウェブコンテンツ、オンラインショップ、オンラインゲーム、放送など
15.流通・小売業 百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、通信販売、量販店、ショッピングセンター、他の小売店など
16.金融・保険 銀行、証券、保険、消費者金融、クレジットカード、電子マネー、宝くじ、インターネットバンキングなど
17.交通・レジャー 交通、旅行・宿泊、スポーツ・レジャー施設、公営レース、映画・コンサート・各種イベントなど
18.外食・各種サービス 飲食業、宅配・引越便、美容、レンタル、人材派遣、結婚情報、セキュリティサービス、法律相談、かつらなど
19.官公庁・団体 官公庁、自治体、政党、外国官公庁、広告団体、諸団体など(単一業界の団体は各業種に分類)
20.教育・医療サービス・宗教 学校、予備校・学習塾、各種学校、通信教育、医療機関、医療・介護サービス、シルバー施設、宗教など
21.案内・その他 案内広告(新聞、雑誌)、臨時もの、連合広告、企業グループなど