インターネット

インターネット広告費:2兆1,048億円(前年比119.7%)

インターネット広告媒体費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を含む)、インターネット広告制作費、新設項目の「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」の合計。 「物販系ECプラットフォーム広告費」を含まない前年同様の推定方法では、1兆9,984億円(前年比113.6%)

インターネット広告媒体費 1兆6,630億円(同114.8%)

  • インターネット広告費のうち運用型広告費は1兆3,267億円(同115.2%、総広告費における構成比19.1%)で、前年に続き大規模プラットフォーマーを中心に高成長となった。大規模プラットフォーマーではない自社プラットフォームを保有している独立した専門型プラットフォーマー(ニュースキュレーションメディアなど)も、前年同様、運用型広告の機能拡充を継続し、大規模プラットフォーマーとの連携を深めている。運用型広告環境は、専門型プラットフォーマーにとってもますます重要となってきている。さらに、運用型以外の広告についても、一定の成長がみられることがわかった。今後もインターネット広告媒体市場は、安定的な成長を続けると思われる。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 715億円(インターネット広告媒体費の一部、同122.9%)

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、2桁成長を続けた。特に雑誌デジタル、テレビメディア関連動画デジタルが大きく伸長した。

  • 新聞デジタル 146億円(同110.6%)
    新聞本紙を基盤とするコンテンツの信頼性により、前年に続きブランドセーフティーを意識するクライアントニーズが高くプラスとなった。また、コンテンツ配信など、ソーシャルメディア事業社との協業やプラットフォーマーとの新規事業開発もみられ、新しい試みが始まっている。ID(有料会員・無料会員)獲得施策を強化するなど、新聞社自体のデジタル事業の変革も進行している。
  • 雑誌デジタル 405億円(同120.2%)
    デジタル領域での事業拡大に伴い、デジタル広告売上は20%伸長した。特に良質なコンテンツを背景に、タイアップ広告、動画広告などが大きく拡大。また出版社は、デジタル起点の新事業(SNS・インフルエンサーの育成、コンテンツスタジオ設立、スタートアップ企業との協業など)も積極的に進めている。インターネット広告の安全性が重視される中、今後も出版社の良質なコンテンツや、優良な読者を活用した新たなビジネスモデル開発と収益の拡大が期待される。
  • ラジオデジタル 10億円(同125.0%)
    広告業界のデジタルシフトに伴う中、ラジオはマスコミ四媒体の中でも早くからデジタル化を進めてきた。その中、radiko「ラジコオーディオアド」(番組ごとのセグメントではなく、リスナーの年代や性別といった属性でターゲットセグメントが可能な広告モデル)の広告出稿は、増加傾向にある。位置情報をはじめとする各種データとの連携を背景に、地上波ラジオとの組み合わせやソーシャルメディアとの企画連携など、より複合的な広告の活用が進行、今後も成長が続く。ソーシャルメディア施策やradiko「ラジコオーディオアド」などと地上波ラジオの組み合わせで、今後も増加が期待される。また、radiko「ラジコオーディオアド」のタイムフリー上の広告が開始した。
  • テレビメディアデジタル 154億円(同146.7%)
    前年100億円を突破の「テレビメディア関連動画広告」が150億円(同148.5%)と、依然として活発な成長をみせている。テレビ受像機向けアプリ(インターネットに接続されたテレビ画面上で使われるアプリ)での配信も始まった民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」など、地上波テレビ由来のコンテンツ力を背景にさらなる成長が期待される。スポーツコンテンツのライブやハイライト配信なども徐々に増えてきており、今後は「東京2020オリンピック・パラリンピック」にも期待がかかる。

インターネット広告制作費 3,354億円(同107.9%)

  • アドフラウド(広告詐欺)や個人情報保護の観点から企業の広告活動を自社サイト(オウンドメディア)を基点に行う動きが進み、自社サイトと連携したソーシャルメディアの活用が増加した。
  • 大規模プラットフォームごとのメニューに合わせた企画やキャンペーン訴求も増加(テレビCMなどの用途に制作された素材の二次活用も目立った)。
  • コミュニケーション全体の設計、効果の可視化やPDCAなどの関連作業も増加。

「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」(新設項目)1,064億円

  • 2019年より、市場が急速に拡大している「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」をインターネット広告費として追加推定した。今回の推定で、1,064億円という市場規模は、インターネット広告費の短中期的な拡張の中心軸になりうる結果となった。
  • 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」とは、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム(これを、本広告費では「物販系EC プラットフォーム」と呼ぶ)上において、当該プラットフォームへ“出店”を行っている事業者(これを、本広告費では「店舗あり事業者」と呼ぶ)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義した。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。また、2019年7月29日にD2C・CCI・電通3社共同で「物販系ECプラットフォーム広告費」を発表したが、今回「2019年 日本の広告費」調査によって、新たに「日本の広告費」との重複部分を排除、再定義し追加推定した。2018年822億円(参考値、「2018年 日本の広告費」には含まれない)2019年1,064億円(参考前年比129.4%)
    参考)2019年7月29日 D2C・CCI・電通3社共同リリース;
       2018年実績1,123億円(前年比120.6%) 2019年予測1,441億円(同128.3%見通し)