新聞/雑誌/ラジオ/テレビ/マスコミ四媒体広告費

マスコミ四媒体広告費(衛星メディア関連も含む):2兆4,538億円(前年比108.9%)

新聞広告費:3,815億円(前年比103.4%)

  • 新型コロナによる影響は継続したものの、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、第49回衆議院議員総選挙などにより、通年では増加となった。
  • 業種別では、巣ごもり・在宅需要を背景に「化粧品・トイレタリー」は前年比112.0%となり、  特に通販系化粧品が増加した。「流通・小売業」も通信販売が増加し、同107.8%となった。「交通・レジャー」は、旅行・宿泊関連の減少が見られたものの、レジャー施設・興行関連が増加し、同100.3%となった。「情報・通信」は前年の出稿増による反動減で、同96.3%となったものの、ウェビナー、リモートワーク関連、オンラインショップ(EC関連)などの需要は拡大傾向が続いた。
  • 中央紙、地方紙でみると、中央紙の方が、昨年の減少幅が大きかったことに加え、東京2020オリンピック・パラリンピック関連の出稿が見られたことから、前年比は高い傾向となった。
  • 2022年は、経済活動が再開後との比較になるため、前年並みの水準となると予測。今後の新型コロナによる影響は読めない部分も多いが、収束した場合には、交通・レジャーやイベントをはじめとする各種広告需要の回復が見込まれる。

雑誌広告費:1,224億円(前年比100.1%)

  • 紙の出版物推定販売金額は、前年比98.7%と17年連続のマイナスとなったが、その減少幅は2020年同様に小さかった。内訳は、書籍が同102.1%、雑誌が同94.6%。一方、電子出版市場は同118.6%と引き続き大きく伸長した。コミック誌では“縦スクロールコミック※1”がさらに浸透し、新たなターゲット層を取り込むことで、同120.3%と大きく成長した。なお、紙と電子出版を合わせた出版市場全体は同103.6%となり、3年連続で前年を上回った。(数字出典:出版月報2022年1月号)
  • 雑誌広告費は、1-3月期は広告宣伝費が落ち込んだが、4-6月期以降回復に転じ、通年では前年比100.1%となった。一方、コロナ禍の状況や宣伝予算のデジタルシフト加速、自社DX(デジタルトランスフォーメーション)事業への投資などによる雑誌広告出稿への需要影響は今後も不透明。出版各社は引き続きデジタル事業、コンテンツ事業などに大きく軸足をシフトしつつ、広告主のプロモーションニーズや手法の変化、それに伴う「紙媒体」としての雑誌の価値や、役割の変化を模索していくと考えられる。
  • 2022年、出版各社は「コンテンツ事業」「コミック事業」を事業の中心に据え、XR※2(クロスリアリティ)、縦スクロールコミック、データプラットホームの構築など、様々な面でのテクノロジー化を深化。また、広告収益の過半以上を占めるデジタル領域でも、デジタルネイティブメディアのローンチや、コンテンツを活用した新領域事業の開発を更に進めるものと考えられる。

※1 スマートフォンでの閲覧に特化した「縦スクロール」「オールカラー」のウェブコミック。

※2 現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術(VR<仮想現実>、AR<拡張現実>、MR<複合現実>など)の総称。

ラジオ広告費:1,106億円(前年比103.8%)

  • 東京2020オリンピック・パラリンピックに関連した番組への出稿も寄与し、4-12月の期間では前年を上回り、通年で前年比103.8%となった。
  • 業種別では、巣ごもり・在宅需要もあり、「化粧品・トイレタリー」が前年比132.4%、「飲料・嗜好品」が126.9%、SNSやアプリ、定額課金型の動画配信サービスなどが増加した「情報・通信」が112.9%などと大きく伸長した。
  • 7-8月のオリンピック期間に、大会前および期間中の情報ベルト番組・男子マラソン中継・大会後のハイライト特別番組という3つの統一番組を民放ラジオ99局で編成。
  • 新型コロナの影響を受け、リアルイベントの開催機会が減少する中、オンラインライブなどの企画が前年に引き続き2022年も増えていく見込み。感染状況をみて、リアルとオンラインのハイブリッド開催の対応とするイベントも増えてきている。

テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆8,393億円(前年比111.1%)

地上波テレビ 1兆7,184億円(同111.7%)

  • 新型コロナによる影響が前年と比較して落ち着いたことから、地上波テレビ広告費は1兆7,184億円(前年比111.7%)となった。
  • 番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」「FIFAワールドカップカタール2022 アジア2次予選」および「同 アジア最終予選」をはじめ、プロ野球、プロゴルフトーナメントなど、前年に見送られた大型スポーツ大会やイベントが、感染対策を講じた上で実施されたこともあり、大幅な出稿増となった。地域別に見ても、通期では基幹8地区全てで前年を上回った。
  • スポット広告費は、前年から続く新型コロナの影響により1-3月期は低調であったが、4-6月期は、携帯キャリアの出稿が堅調な「情報・通信」に加え、スタートアップ、ヒューマンリソース領域の出稿がけん引し、好調に推移した。7-9月期には、巣ごもり・在宅需要による「飲料・嗜好品」業種の好調な出稿に加え、前年中止または延期となっていた映画作品の公開が徐々に始まり、「交通・レジャー」の出稿が復調した。10-12月期には、「情報・通信」「交通・レジャー」に加え、「外食・各種サービス」も好調となり、大幅な出稿増へとつながった。地域別に見ても、通期では基幹8地区全てで前年を大きく上回った。
  • 2022年通期の見通しは、いまだ新型コロナによる影響が不透明であるものの、番組広告費は「第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)、北京2022パラリンピック冬季競技大会」(以下、北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会)「FIFAワールドカップカタール2022」「第18回世界陸上2022 アメリカ・オレゴン」「第19回アジア大会2022 中国・杭州」など大型スポーツ単発、イベント実施による広告主各社のマーコム(マーケティングコミュニケーションの略称)戦略の活性化が期待される。スポット広告費においては、前年からの活況は継続される見込み。ヒューマンリソース領域と官公庁系の大型出稿がけん引し好調な滑り出しである。(2022年2月時点)

衛星メディア関連 1,209億円(同103.1%)

  • 巣ごもり・在宅需要により、通販市況は好調に推移し、前年を上回った。
  • 前年にコロナ禍で中止となったスポーツイベントが開催されたことに伴い、放送収入が増加した。
  • 2022年の大きなトピックスとしては、2月に北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会をBS4Kで放送。3月には3つの新しいBS放送局(無料放送)が開局予定。
  • 通販市況に関しても、2022年も前年に引き続き好調と予測する。

(億円、前年比、%)

  2020年 2021年 前年比
衛星メディア関連 1,173 1,209 103.1
BS 863.0 899.5 104.2
CS 161.4 153.5 96.8
CATV 148.5 153.5 103.4

※衛星メディア関連は、小数点以下を四捨五入し合計値とする。

マスコミ四媒体広告制作費:2,654億円(前年比103.1%)

(注)広告制作費は、衛星メディア関連を除く新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの広告費に含まれている。

  • マスコミ四媒体広告制作費のうち最も大きい地上波テレビCM制作費は2,050億円(同104.8%)となった。コロナ禍の中での東京2020オリンピック・パラリンピック開催により、特に4月から6月にかけて前年同期比10%以上の大きな伸長となった。他媒体の制作費動向として、新聞広告制作費は下げ止まりを見せた。一方、雑誌広告制作費の低下傾向は止まらず、ラジオ広告制作費も引き続き前年に届かない結果となった。(なお、マスコミ四媒体広告制作費の内訳は、地上波テレビCM制作費以外は非開示)
  • 業種別では、コロナ禍において好調な「情報・通信」、「金融・保険」、「家電・AV機器」の3業種の広告制作費は大きく増加した。一方、世界的な半導体不足の影響から「自動車・関連品」や原油・原材料などの資源高の影響を受けた「エネルギー・素材・機械」の2業種が大きく減少となった。
  • 2021年も継続して広告主、広告会社、制作会社連携による働き方改革を前進させ、取引の透明性向上を実現する為、内容、予算、スケジュール管理の徹底に努めた。表現のみならず、コロナ禍に対応した制作過程でのリスク軽減の取り組みも進んでいる。さらに、広告もコンテンツの一つという観点から、制作市場における適正価格の向上も業界全体の課題である。

2021年 マスコミ四媒体広告費(衛星メディア関連も含む)の四半期別伸び率

「マスコミ四媒体広告費」(衛星メディア関連も含む)を四半期別にみると、4-6月期から前年同期の反動増もあり、プラス傾向へ。

(前年比、前年同期比、%)

マスコミ四媒体広告費
(衛星メディア関連も含む)
2020年1-12月 1-6月 7-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
86.4 85.3 87.5 94.3 75.6 81.4 93.2
2021年1-12月 1-6月 7-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
108.9 107.0 110.7 96.6 121.2 117.3 105.3