インターネット

インターネット広告費:2兆7,052億円(前年比121.4%)

インターネット広告媒体費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を含む)、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合計。

インターネット広告媒体費 2兆1,571億円(同122.8%)

  • 新型コロナによる影響で消費の低迷と広告出稿が減少した前年からの反動で、前年比122.8%と大きく成長し、媒体費が初めて2兆円を超えた。
  • うち運用型広告費は、1兆8,382億円(同126.3%)。
  • 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が多くの地域で長期間適用されたことによる巣ごもり・在宅需要の継続や、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催などにより、動画配信サービスの利用者が増加し、動画広告は大きく伸長した。
  • 新型コロナの影響でオフライン販促施策が制限される中、大手プラットフォームが自社のポイントを活用したデジタル販促ソリューションを積極的に展開した結果、販促費の取り込みが進んだ。
  • Appleのプライバシーポリシーの変更や、Googleが予定するサードパーティークッキーの規制などによって到来するクッキーフリー時代に向けて、大手プラットフォームのデータクリーンルームへの取り組みが本格化しつつある。

※ さらに詳細は、「2021年インターネット広告媒体費詳細分析」(㈱CARTA COMMUNICATIONS、㈱D2C、㈱電通、㈱電通デジタル4社で、2022年3月9日 共同発表)を参照。インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析している。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0309-010503.html

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,061億円(インターネット広告媒体費の一部、同132.1%)

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、初めて1,000億円を超え、前年に続く二桁成長となった。

  • 新聞デジタル 213億円(同123.1%)
    前年より堅調な成長トレンドが続いた。上半期は、タイアップ記事やオンラインイベントなど予約型広告が増加したものの、運用型広告は減少した。7-9月期は新型コロナの状況や東京2020オリンピック・パラリンピック関連ニュースのPV(ページビュー)数増に伴い、運用型広告は増加した。一部で過去最高PV数を記録する新聞社もみられた。予約型については通期では平年並みだが10月以降は、一部の企業に増加傾向がみられた。スポーツイベントでは、北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会、FIFAワールドカップ カタール2022を中心とし、イベント開催などに伴う広告売上も見込まれる。また、各社デジタル広告に注力し、新たな広告商品やシステムの導入など新聞デジタル広告の活性化が期待される。
  • 雑誌デジタル 580億円 (同130.0%)
    雑誌由来の広告費が広告売上の過半を占める出版社もあった。引き続き主要ウェブメディアのPV/UU(ユニークユーザー)数、主要SNSの媒体アカウントなどは伸長した。ウェビナー企画やオンラインイベント、広告主のオウンドコンテンツ制作、動画制作・配信など、出版編集のコンテンツ制作力やコミュニティへの集客力を強みとした広告企画が定着し、出版系ウェブメディアおよび雑誌ブランド・コンテンツ事業の成長を後押しした。今後は、ファン・コミュニティの事業化、コミック事業の拡大、XRおよびメタバース領域、NFT(非代替性トークン)を活用した価値の高いコンテンツの取引など、「出版IP(知的財産)」を駆使した様々な研究開発が進み、新たな広告収益につながる取組みが、多数創出されると考えられる。
    ※ インターネット上に広がる三次元の仮想空間やサービスのこと。
  • ラジオデジタル 14億円 (同127.3%)
    Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタルへ新規出稿と継続出稿が増加した。また、Spotifyユーザーにも接触するプレミアムオーディオ広告も好調に推移した。2022年はPodcastにおける定額課金サービスなど、各局それぞれがもつ音声コンテンツプラットフォームサービスのセールスにも力を入れていく見込み。
  • テレビメディアデジタル 254億円(同146.8%)
    テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は249億円(前年比146.5%)と、前年に続いて急成長した。TVerは、再生数・ユーザー数ともに順調に伸長しており、コネクテッドTVなどテレビ受像機での視聴も拡大している。東京2020オリンピック・パラリンピックのLIVE・ハイライト配信を実施したことでも話題となった。2021年10月に日本テレビが先行する形で開始したリアルタイム配信も、2022年には放送局が拡大される見込みで、更なる進化が期待される。

物販系ECプラットフォーム広告費 1,631億円(同123.5%)

  • 前年に続き、コロナ禍に伴う外出自粛により、生活者の身近な購買チャネルとしての物販系ECプラットフォームの利用が進み、高い成長率となった。
  • 在宅勤務や教育機関の休校・休園の影響もあり、日用品や食料品、生活家電だけでなく、生活必需品以外(衣類や書籍、おもちゃなど)の流通量も伸長した。
  • 特定の経済圏では、ポイント還元やディスカウントなどの生活者メリットによる購買行動が進んだことも物販系ECプラットフォーム広告費の成長を支えた。
  • 今後はライブコマースのような対面接客に近い体験や、クイックコマースのような短時間で商品が届く体験など、生活者の購買体験を豊かにする取り組みが増えると予想されており、物販系ECプラットフォームとその広告費は引き続き伸長していくと考えられる。
  • 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」とは、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム(これを、本広告費では「物販系ECプラットフォーム」と呼ぶ)上において、当該プラットフォームへ“出店”を行っている事業者(これを、本広告費では「店舗あり事業者」と呼ぶ)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義した。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。

インターネット広告制作費 3,850億円(同113.2%)

  • 新型コロナの影響により冷え込んでいた生活者の消費マインドの回復と、オンライン消費スタイルの定着、また、企業のDX化が一層加速したことなどにより、インターネット広告の制作需要が拡大した。
  • 制作物の種類で状況を見ると、動画広告の伸長が顕著であった。動画広告にはブランドムービーからSNS(ソーシャルネットワークサービス)でのバズ(SNS上で拡散する)動画まで、さまざまな種類のものがあるが、中でもブランドムービーをはじめとするリッチコンテンツが大きく増加した。
  • 音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツ、制作物。ここでは、高品質な動画を指す。