インターネット

インターネット広告費:3兆912億円(前年比114.3%)

インターネット広告媒体費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を含む)、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合計。

インターネット広告媒体費 2兆4,801億円(前年比115.0%)

  • ウクライナ情勢や円安、原材料高騰などの社会情勢の影響も受けたものの、前年に続き大きく増加、前年比115.0%の高い成長となった。
  • プラットフォーマーやメディア各社が前年に続き動画サービスに注力。そのサービスの利用者や利用時間も増加傾向にある中で、インストリーム広告を中心に動画広告費が伸長した。
  • また、リスティング(検索連動)広告やデジタル販促も前年に続き好調で、クライアントの顧客獲得や販売促進においても、デジタル領域が担う役割はますます高まってきている。

※インターネット広告媒体費の詳細については、「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(㈱CARTA COMMUNICATIONS、㈱D2C、㈱電通、㈱電通デジタル、㈱セプテーニ・ホールディングスの5社で、2023年3月14日に共同発表)を参照。インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2023年予測も行っている。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,211億円(インターネット広告媒体費の一部、前年比114.1%)

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、前年に続く二桁成長となった。

  • 新聞デジタル 221億円(前年比103.8%)
    2桁成長が続いたこれまでの成長トレンドはやや鈍化した。北京2022冬季オリンピック・パラリンピックや第26回参議院議員通常選挙、FIFA ワールドカップ カタール 2022などが押し上げに寄与したものの、コロナ禍やウクライナ情勢などに伴う経済低迷、前年の東京2020オリンピック・パラリンピックの反動減などが影響した。販売形態別では、運用型広告は前年を下回ったが、予約型広告の成長により全体として100%を超える結果となった。運用型はディスプレイ広告が大きく減少。一方、予約型は特にタイアップ広告、動画広告が増加をけん引した。多くの新聞社ではディスプレイ広告が売上の大きな割合を占めるが、一部の社では編集力や信頼性を背景にタイアップ広告の伸長がみられ、今後の市場拡大が期待される。また動画によるコミュニケーション・ニーズの高まりを受け、新聞デジタルにおいてはアウトストリーム動画の増加傾向がみられる。

    2023年は世界的な大型スポーツイベントなどが続くことから、PV数増に伴う広告費の増加が見込まれる。新聞社の中には各種データホルダーとの連携やDMP構築など、データを活用した新たな広告商品やサービス開発に取り組む社も出てきており、新聞デジタル広告の活性化が期待される。
  • 雑誌デジタル 610億円(前年比105.2%)
    引き続き主要ウェブメディアのPV/UU数、主要SNSのフォロワー数などは伸長したが、その伸長率は以前と比較して緩やかな傾向となり、安定成長期に入ったと推測される。各社においてDMPを活用したデータソリューション、SNS活用施策、オンラインイベント、広告主のオウンドコンテンツ制作、動画制作・配信など、出版社のデータ・コンテンツ制作力・コミュニティ力を強みとした企画が習熟され、出版系ウェブメディアおよび雑誌ブランド・コンテンツ事業の成長に欠かせない存在となっている。今後も、ファン・コミュニティの事業化、コミック事業の拡大、XRおよびメタバース領域、NFT(非代替性トークン)を活用した価値の高いコンテンツの取引など、「出版IP(知的財産)」を駆使した様々な研究開発が進み、新たな広告収益につながる取り組みが多数創出されると考えられる。
    ※ インターネット上に広がる三次元の仮想空間やサービスのこと。
  • ラジオデジタル 22億円(前年比157.1%)
    Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタル広告への新規出稿と継続出稿がみられた。各局オリジナルの音声コンテンツの制作・セールスも注力されている。地上波とSNSの展開を融合させた施策の実施もみられる。また、プレミアムオーディオ広告も堅調に推移した。
  • テレビメディアデジタル 358億円(前年比140.9%)
    テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は350億円(前年比140.6%)と、前年に続いて急成長した。TVerは、再生数・ユーザー数ともに順調に伸長しており、コネクテッドTVなどテレビ受像機での視聴も拡大している。2021年10月に日本テレビが先行する形で開始したリアルタイム配信も、2022年には他在京キー局においても配信が開始された。またABEMAは、2022年にFIFA ワールドカップ カタール 2022の配信を実施。当該期間中に過去最高となるWAU(Weekly Active Users=週間アクティブユーザー)を記録するなど規模を拡大している。

物販系ECプラットフォーム広告費 1,908億円(前年比117.0%)

  • 買い場としての物販系ECプラットフォームの利用が消費者の中で定着したことで、前年に続き増加した。
  • 日用品や食料品を中心に堅調で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され徐々に外出の機会が増えたことにより、コスメやファッション、旅行、スポーツ関連商品の流通量が増加した。
  • 各ECプラットフォームはより良い購買体験を提供するためのアップデートを進めており、検索性の向上や商品ページのデザイン変更、新たな商品を知るきっかけとなる広告枠の実装が検討されている。
  • 近年、自社ブランド認知や店舗顧客との接点などを目的として活用されてきたライブコマースに加え、改めてリアル催事への出店を含めた実店舗での体験提供が活性化すると予想。
  • 2023年は原材料不足や費用の高騰などの影響を受けて、製造・仕入れ、在庫管理、梱包・配送などのコスト最適化に向けた業務プロセスの見直しが進むと見込まれる。

インターネット広告制作費 4,203億円(前年比109.2%)

  • 新型コロナによるオンライン消費の定着と、企業のDX化の本格的な拡大などを受けてインターネット広告の制作需要は拡大。一方、グローバルサプライチェーンにおけるリスクの増大や記録的な円安など、企業を取り巻く不安定な環境を受けて、企業のインターネット広告制作予算は前年と比較すると伸び率はやや鈍化した。
  • 制作物の種類別に動向を見ると、ウェブ動画広告の伸長が目立っており、その中でも動画サイトなどのコンテンツ内に表示されるインストリーム動画広告の制作が大きく増加した。また、動画広告の内容で見ると、ブランデッドムービーなどリッチコンテンツの制作が増加している。
  • 音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツ、制作物。ここでは、高品質な動画を指す。