インターネット
インターネット広告費:3兆6,517億円(前年比109.6%)
インターネット広告媒体費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を含む)、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合計。
インターネット広告媒体費 2兆9,611億円(前年比110.2%)
- インバウンド需要を受けた不動産、人材市場の活性化に伴う人材系の業種などの好調もあり、前年を超える大きな伸び率を示し、二桁成長の110.2%となった。
- その中でも、動画広告の伸び率が好調で全体を押し上げ、中でもSNSプラットフォーム上での縦型動画広告などの需要増加が寄与した。
※インターネット広告媒体費の詳細については、「2024年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(㈱ CARTA COMMUNICATIONS、㈱電通、㈱電通デジタル、㈱セプテーニの4社で、2025年3月12日に共同発表)を参照。インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2025年の予測も行っている。
マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,520億円(インターネット広告媒体費の一部、前年比117.5%)
- 新聞デジタル 195億円(前年比93.8%)
新聞デジタル以外の動画広告への予算シフトや、広告単価の低下による影響が大きく、前年を下回った。予約型広告は、前年に減少傾向であったタイアップ広告で回復がみられ、オンラインセミナーなどの企画型の広告出稿やターゲット施策が増加した。運用型広告は、パリ2024夏季オリンピック・パラリンピックなどの大型スポーツ大会の開催によってPV(ページビュー)数は増加したものの、単価の低下による影響が大きく低調であった。一方で、「官公庁」や「金融」業種では増加傾向にあり、コロナ禍が落ち着いたことで、リアルイベントやセミナーの需要増加がみられた。 2025年は第27回参議院議員通常選挙が予定されているものの、大型スポーツ大会の開催が少なく、広告需要は不透明な状況。今後も広告単価の低下傾向が続くと予想されるため、自社による広告配信プラットフォームの確立やサブスクリプションモデルの模索など、収益確保に向けて取り組む新聞社が増えている。 - 雑誌デジタル 637億円(前年比104.3%)
雑誌の休刊や刊行形態変更に伴い、ウェブメディアのリニューアルやSNSアカウントへのリソース強化が行われた。SNS上のコンテンツ拡充によってフォロワー数などが引き続き堅調に推移し、紙媒体やウェブメディアに起因しないSNS内で完結できるタイアップ広告が伸長。その他、広告主のオウンドメディア上のコンテンツの制作や動画の制作・配信など、出版社の強みであるコンテンツ制作力やコミュニティ力を生かした企画が堅調に推移し、広告収益を支えた。今後も出版各社はファン・コミュニティの事業化、事業や企画におけるコンテンツ活用を進めると同時に、出版領域のソリューション価値指標の策定とプランニングへの応用、コミック系ウェブメディア事業の拡大(コミックIPの海外輸出と広告配信による新収益の創出)などを中期的な戦略として推進していくと考えられる。 - ラジオデジタル 34億円(前年比121.4%)
Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタル広告への新規出稿と継続出稿がみられ、今後も増加が見込まれる。引き続き、地上波ラジオ放送とSNSやPodcastなどのデジタルとの展開を融合させた施策の実施も見受けられる。 - テレビメディアデジタル 654億円(前年比146.3%)
テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は653億円(同147.4%)と前年に続いて大きく増加した。見逃し無料配信動画サービスは、根強い人気があるドラマやバラエティーの視聴に加え、パリ2024夏季オリンピック・パラリンピックが開催されたこともあり、スポーツのライブ視聴なども増加した。再生数・ユーザー数ともに順調に伸長しており、2024年12月には過去最高となった。コネクテッドTVなどテレビ受像機での視聴も拡大している。インターネットテレビサービスでもリアリティーショーやドラマ、バラエティー、スポーツに加え、アニメ視聴によるユーザー数の伸びが顕著である。
物販系ECプラットフォーム広告費 2,172億円(前年比103.4%)
- 前年までの成長率と比べると緩やかな伸長となった。
- 原材料費や物流コストの高騰などを背景にした物価上昇により生活者の節約志向が強まったことや、リアル店舗への顧客回帰によるチャネルの多様化により商品の購入場所が分散したことなどが影響した。
- ECというサービスが成長期から成熟期へ移行する時期と捉えると、2025年は各社がシェア獲得に向けた差別化戦略を推進することが見込まれる。AIを活用した買い物のスマート化やパーソナライズ化、実店舗・決済方法と連動したオムニチャネルの進化、動画コンテンツやライブ配信による新たな購買体験の提供などが予想される。
インターネット広告制作費 4,734億円(前年比108.6%)
- 記録的な円安や物価高など企業を取り巻く環境の不確実性は高まるものの、インターネット広告制作の需要は堅調に拡大した。
- 制作物の種類別に動向をみると、ウェブ動画広告制作が引き続き伸長しており、その中でも動画サイトやアプリなどのコンテンツ内に表示される動画広告制作数は前年に引き続き増加した。また、動画広告の内容でみると、ブランデッドムービーなどのリッチコンテンツ※制作の増加傾向は維持している。
- 音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツ、制作物。ここでは、高品質な動画を指す。

「2024年 日本の広告費」 動画(67秒)
「日本の広告費とは」 動画(30秒)