5_音楽

解説

パソコンの性能向上やDAW(Digital Audio Workstation:音楽制作用ソフトウエア)の低価格化を背景に、音楽制作の参入障壁は低下している。動画共有サイトはユーザーにとって音楽に接する主要なメディアの一つであるとともに、事業者にとっては有効なプロモーション手段として活用されている。さらに、定額制の聴き放題ストリーミングサービスは従来のパッケージ販売やダウンロード販売に代わる流通形態として拡大しており、音楽の流通および消費のあり方は変化している。また、個人が制作した音楽がグローバルな視聴者層に到達する機会も広がっている。

産業構造図

(1)市場

図表5-2

日本の音楽市場規模は、コンサートやカラオケ需要がコロナ禍による落ち込みから回復するとともに、音楽配信(ストリーミング)の伸長も寄与し、2024年は1兆7197億円(前年比109.3%)と、2008年以来となる1兆7000億円台の水準となった。

(2)音楽ソフト/配信

図表5-3

音楽配信市場の伸長が見られる一方で、日本の音楽ソフト市場においては、オーディオレコードの生産金額(2024年は1490億円)が音楽配信(同1233億円)を上回る構造が見られる。

図表5-4

オーディオレコードの生産金額および数量は、コロナ禍においてCD発売の中止等の影響を受けたものの、コンサート市場やカラオケ市場と比較して落ち込みは限定的であった。2024年の生産金額は1490億円(前年比101.9%)となった。

図表5-5

2024年の音楽ビデオの生産金額は前年比75.5%の562億円となった。

図表5-6

2024年の音楽配信売上は前年比105.8%の1233億円となった。成長の主因はストリーミングであり、そのうちサブスクリプションは同108.2%の979億円となっている。ストリーミングは、音楽配信売上全体の約8割を占めている。

(3)カラオケ

図表5-7

カラオケの市場規模は、コロナ禍の2020年度および2021年度に大幅に縮小し、金額ベースで3000億円を下回ったが、その後回復し、2024年度には4970 億円となっている。また、参加人口についても4000万人台まで回復している。

発行元リンク:全国カラオケ事業者協会

図表5-8

2024年度のカラオケボックス施設数は前年比106.2%の8811施設、ルーム数は同103.4%の11万6400ルームとなり、いずれもポストコロナ期において2年連続で増加している。

発行元リンク:全国カラオケ事業者協会

(4)コンサート

図表5-9

ライブ市場規模(コンサートプロモーターズ協会の正会員社のチケットの売上額)は、コロナ禍で開催中止が相次いだ2020年に大幅に縮小したものの、その後、ポストコロナ期に入り回復し、2023年および2024年はコロナ禍前の水準を大きく上回っている。

図表5-10

コロナ禍後のライブ市場の活況は、アリーナ級の大規模公演の増加が寄与している。2024年のアリーナでの国内アーティストの公演数は前年比130.9%の2306本、動員数は同136.6%の1869万人となっている。

(5)音楽関連市場

図表5-11

2025年12月時点でのCDVJ加盟店数(ビデオレンタル店を含む)は675店(前年12月比で83.3%)となった。

図表5-12

2024年度の日本音楽著作権協会(JASRAC)の使用料等徴収額は前年度比105.4%の1446億円となった。徴収額の内訳を見ると、音楽配信に係る徴収額が増加しており、徴収額全体に占める「インタラクティブ配信」の割合は2010年の8.6%から2024年度には39.0%に上昇している。「インタラクティブ配信」は、「演奏」(41.9%)に次ぐ規模となっている。

図表5-13

2024年度における日本の主なレコードメーカー13社の売上高合計は前年比107.7%の8454億円となった。これらのレコードメーカーは多角的に事業を展開しており、CD、レコード、ミュージックテープの売上を合計した「レコード関連売上高」の構成比は26.9%となっている。

図表5-14

2024年のモバイル音楽コンテンツ市場規模は前年比106.7%の2170億円となった。なお、フィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)のコンテンツサービスの終了に伴い、モバイル音楽コンテンツ市場規模は2022年から「スマートフォン等市場」のみを対象としている。

(6)ユーザー

図表5-15

コロナ禍においては、「カラオケ」「音楽会、コンサートなど」「コーラス」などが減少する一方で、「音楽鑑賞」や「洋楽器の演奏」には増加が見られ、活動内容によって異なる動向が確認される。

図表5-16

CDや音楽配信などによる「音楽鑑賞」「カラオケ」「コンサート」は、生活者における主要な音楽の消費形態となっている。また、「楽器の演奏」がこれに次ぐ位置づけとなっている。

図表5-17

生活者における音楽の主な聴取手段としては、動画共有サイト(YouTube)の利用が最も多い。

図表5-18

2025年において、YouTubeでのView数が最も多かった邦楽は、2024年4月12日に公開されたMrs. GREEN APPLEの「ライラック」であり、View数は2.6億回を超えている(テレビアニメ『忘却バッテリー』オープニングテーマのバージョンView数を含む)

図表5-19

2025年調査(東京50km圏)によれば、定額制音楽配信(いわゆる「サブスク」)の利用率は、男女ともに20代で高く、4割を上回っている。全体では、男女とも約4人に1人が利用している。

図表5-20

2025年調査(東京50km圏)におけるコンサート参加率は、多くの年代で女性が男性を上回る傾向が見られる。特に、20代女性の日本人アーティストのコンサート参加率は34.7%と、他の層と比較して高い水準にある。

図表5-21

2025年調査(東京50km圏)におけるカラオケ参加率は、男女ともに若年層で高い傾向が見られる。また、60歳以上を除く各年代において、女性の参加率は男性を上回っている。