9_EC・通販

解説

日本通信販売協会(JADMA)によれば、通信販売の市場規模は26年連続で拡大、2024年度は推計で14兆5500億円となった。売り上げ規模の大きい主要企業を中心に堅調な成長が続いている。
業界全体の動向としては、コールセンターやフルフィルメント、マーケティング領域におけるAI活用による業務効率化や、企業のM&Aを通じた事業多角化の動きが目立っている。一方で、各事業者のサービス均質化が進み、他社との差別化が課題という指摘もある。

産業構造図

(1)市場

図表9-2、図表9-3

2024年度の通信販売市場の売上高は、前年度比で107.3%の14兆5500億円となった。円安などによる原料価格高騰も進む中、通販市場拡大は26年連続で続いている。
なお、経済産業省による2024年度の小売業商業販売額は前年度比で100.8%の165兆3770億円。この金額に占める通信販売売上高の割合を算出すると8.8%となる。小売業商業販売に占める通信販売の金額ベースでの比率は2020年度と比べ1.6ポイント増、2023年度と比べ0.5ポイント増で徐々に高まっている。

発行元リンク:日本通信販売協会

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図表9-4

通信販売企業が利用する広告媒体として利用率が高いのは、「インターネットPC」と、「インターネット携帯」であり、いずれも9割ほどとなっている。「DM(リーフレット)」や「新聞」等の紙媒体や「テレビ」「ラジオ」なども一定の利用率を維持している。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-5

通信販売企業が利用する代金回収手段では、「クレジットカード」「代金引換」「コンビニエンスストアでの支払い」が主流となっている。他方、割合はまだ4割程度にとどまっているものの、「電子マネー・QRコード・バーコード決済」の利用率が2024年度は大幅に増加した。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-6

商品別売上高構成比は、「食料品」と「美容、健康・医薬・医療」がそれぞれ約3割、合計で6割を占めている。いずれも増加傾向にあるが、「美容、健康・医薬・医療」の伸びが大きく、2024年度は前年度より約5ポイント上昇した。それに続く「家具・家電・家庭用品」は、2024年度に前年度より4ポイントほど低下し、15.1%となった。上位品目に大きな変動はないが、構成比に変動がみられる。

発行元リンク:日本通信販売協会

(2)個別市場・関連市場

図表9-7

2024年度のテレビ通販市場規模は、前年度比微減の6640億円となった。通信販売市場全体に占めるシェアは4.6%である。

図表9-8

2024年のインターネット通販市場規模は、前年比で103.6%の11兆4572億円となった。5GやWi-Fiなどの通信環境の整備、スマートフォンの利用拡大、専用アプリやサイトのUI向上等を背景に、市場規模拡大が継続している。

図表9-9

2024年のモバイルコマース市場は7兆2344億円、前年比108.7%となった。特に伸びが大きいのは「サービス系」で、同111.0%となっている。旅券・興行チケット等の購入からチケット発券までワンストップで提供するチケットレス化の動きもその背景にあると考えられる。

図表9-10

2024年のBtoCの電子商取引市場は、26兆1225億円となった。約6割を占めるのが物販系、次いでサービス系が3割、デジタル系が1割となっている。モバイルコマース市場(図表9-9参照)と同様に、サービス系の伸び率が高くなっている。

図表9-11

2024年のCtoCの電子商取引市場は、2兆5269億円となった。フリマ関連のサービスがこの市場に含まれている。以前に比べて市場の伸び率は緩やかになってはきているものの、成長基調は続いている。

図表9-12

2025年の物販系ECプラットフォーム広告費は、前年比112.5%の2444億円となり、右肩上がりの成長が続いている。

(3)ユーザー

図表9-13

2024年の通信販売年間個人利用率は60.8%で、前年比で6.5ポイント上昇した。年間利用回数は男女とも11.8回で、前年よりも増加している。2010年以降の経年変化をみると、利用率はおおむね横ばいだが、利用回数は増加傾向となっている。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-14

2024年の通信販売個人利用率を性別でみると、男性54.8%、女性66.6%で、女性の利用率が12ポイントほど高い。女性の利用率は、30~40代、60代は約7割、50代は8割を超えている。男性でもミドル層以上での利用率が高く、40~60代では約6割となっている。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-15

通信販売で購入する際にみた広告媒体については、2024年は、「携帯電話やスマートフォン・タブレットなどのインターネット」が72.0%となっており、前年比で6.9ポイント増となっている。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-16

通信販売の申し込み手段は、2024年は、携帯電話やスマートフォン・タブレットなどのインターネットが76.4%となっており、パソコンによるインターネットの約3倍となっている。テレビ通販や、カタログ等で、購入サイトに誘導するQRコードを用意していることも多く、スマートフォンから申し込みが増えていると考えられる。

発行元リンク:日本通信販売協会

図表9-17

通信販売で購入した商品の返品経験については、2024年は「よく返品する」0.4%、「ときどき返品する」7.6%、「あまり返品しない」21.9%であり、これらの合計を返品経験率とすると29.9%で、通販利用者の3割程度に返品経験があるということになる。

発行元リンク:日本通信販売協会